スーツ姿のビジネスマンとビジネスウーマンが笑顔で正面を向いている

 ここでは、外国人が日本で働くためのビザである「就労ビザ」とは、どのようなビザなのかについて解説してみたいと思います。

「就労ビザ」の定義

 【ビザ・在留資格の基礎知識】のコラム4つのカテゴリーで考える在留資格②:就労ビザに該当する在留資格】の中で、様々ある在留資格の中で、カテゴリーAに属する在留資格が、いわゆる「就労ビザ」に該当すると述べました(指定される活動によっては、カテゴリーCも「就労ビザ」に該当します)。

 

カテゴリーA: 就労できる在留留資格(活動の制限あり)

在留資格該当例
外交外国政府の大使、公使、総領事、代表団構成員、およびその家族
公用外国政府の大使館・領事館の職員、国際機関などから公の用務で派遣される者、およびその家族
教授大学教授など
芸術作曲家、画家、作家など
宗教外国の宗教団体から派遣される宣教師など
報道外国の報道機関の記者、カメラマンなど
高度専門職ポイント制による高度人材
経営・管理企業などの経営者、管理者
法律・会計業務弁護士、公認会計士など
医療医師、歯科医師、看護師など
研究政府関係機関や企業の研究者など
教育高等学校や中学校の語学教師など
技術・人文知識・ 国際業務機械工学などの技術者、通訳、デザイナー、語学講師など
企業内転勤外国の事業所からの転勤者
介護介護福祉士
興行俳優、歌手、ダンサー、プロスポーツ選手など
技能外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機パイロット、貴金属加工職人など
特定技能特定産業分野において一定の専門性・技能を有する外国人材
技能実習技能実習生

 

カテゴリーC: 就労の可否が指定される活動によって決まる在留資格

在留資格該当例
特定活動外交官などの家事使用人、ワーキングホリデー、インターンシップなど

 

 「就労ビザ」は、入管法上の正式な法律用語ではないため、「就労ビザ」の法律的な定義は無いのですが、本サイトでは、「就労ビザ」を、外国人が就労を目的として日本に在留するために必要な「ビザ(在留資格)」と定義しております。

 「就労ビザ」は、日本で就労できる「ビザ(在留資格)」の総称とも言えます。

 

外国人が日本で報酬を得る活動を行うには「就労ビザ」が必要です

 2020年115日時点で、68の国・地域に対して、日本に入国するための「査証」が免除されています(査証免除国・地域について詳しくは、こちら【査証免除国・地域の一覧】をご覧ください)。

 しかし、査証免除国・地域(いわゆる「ノービザ」の国・地域)の方であっても、日本で報酬を得る活動を行うには、「就労ビザ」が必要です。

 

 たとえ90日以内の短期間の滞在(国・地域によって最大滞在日数は異なります)であっても、外国人が日本で報酬を得る活動を行うには、「就労ビザ」が必要になります。

 

 つまり、外国人の方が査証免除国・地域の方であるか否か、あるいは90日以内の短期滞在であるか否かに関わらず、外国人が日本で報酬を得る活動を行うためには、原則、「就労ビザ」の許可を得なければなりません。

 

 なお、実際には「就労ビザ」というビザは、法律上存在しませんので、出入国在留管理局へ「就労ビザ」を申請する際には、「就労ビザ」に該当する在留資格を申請することになります。

 

「就労ビザ」に該当する在留資格の代表例

 上記のカテゴリーA(就労できる在留留資格)およびカテゴリーC(就労の可否が指定される活動によって決まる在留資格)の表に示すように、「就労ビザ」に該当する在留資格は数多くあります。

 「就労ビザ」に該当する在留資格の代表例としては、「技術・人文知識・国際業務」、「技術」、「技能」、「企業内転勤」などが挙げられます。

 

事務系の専門職・国際業務 ⇒「技術・人文知識・国際業務」

スーツ姿の男性と女性が笑顔で並んでいる

 事務系の専門職(いわゆる「ホワイトカラー系」の仕事)に従事する場合や国際業務に従事する場合の就労ビザとしては、「技術・人文知識・国際業務」という在留資格が該当します。

 職種の例としては、会計、経理、マーケティング、総務、広報宣伝、商品開発、デザイナー、貿易、通訳・翻訳、語学講師などが挙げられます。

 

技術系の専門職 ⇒「技術・人文知識・国際業務」

コンピュータで作業中の女性エンジニア

 技術系の専門職(いわゆる「エンジニア系」の仕事)に従事する場合の就労ビザとしても、「技術・人文知識・国際業務」という在留資格が該当します。

 職種の例としては、エンジニア、設計、技術開発、SE、プログラマーなどが挙げられます。

 

外国料理の調理師などの職人系の職種 ⇒「技能」

テーブルに並んだ点心などの中国料理と調理師

 例えば、外国料理専門店の調理師など、職人系の職種に従事する場合の就労ビザとしては、「技能」という在留資格が該当します。

 具体例としては、本国で中華料理の調理師として長年働いた経験を持つ中国人の方が、日本の中華料理専門店で調理師として働く場合などが挙げられます。

 

 在留資格「技能」に該当する職種としては、外国料理の調理師以外にも、外国特有の建築技術者、外国製品の製造・修理、宝石・貴金属・毛皮加工、動物の調教、石油・地熱等掘削調査、航空機操縦士、スポーツ指導者、ワイン鑑定等があります。

 

海外の事業所から日本の事業所への転勤 ⇒「企業内転勤」

空港ロビーでパスポートと航空チケットを手にしている

 海外の事業所から日本の事業所へ転勤する場合の就労ビザとしては、「企業内転勤」という在留資格が該当します。

 

 これらの在留資格以外にも、就労ビザに該当する在留資格は多数あります。

 

外国人を雇用するにあたっては、仕事の内容がどの在留資格に該当するのかを適切に判断する必要があります

 このように、就労ビザは、様々な在留資格にまたがる概念ですので、就労ビザを申請する場合は、予定している仕事の内容がどの在留資格に該当するのかを適切に判断する必要があります。

 

 極端な例を挙げると、翻訳・通訳業務を担当する方の就労ビザを申請する場合に、「技術・人文知識・国際業務」ではなく、「技能」という在留資格の許可を申請するのは、全くの見当外れになります。

 このような見当違いの申請をしてしまうと、当然ながら不許可となってしまいます。

 ですから、就労ビザを申請する際、雇用予定の外国人の方が担当する仕事の内容が、どの在留資格に当てはまるのかを適切に判断するには、就労ビザに該当する在留資格の知識が不可欠であると言えます。

 

 また、就労ビザの申請に際してよくあるケースとしては、外国人の方の最終学歴や専攻内容、実務経験に問題がある場合があります。

 そこで、次回のコラム【就労ビザの対象になるのは、どんな外国人?】では、この点について考えてみたいと思います。

 

まとめ

 

Memo   

「就労ビザ」は、日本で就労できる在留資格(ビザ)の総称と言えます。

たとえ90日以内などの短期間の滞在であっても、外国人が日本で報酬を得る活動を行う場合には、「就労ビザ」が必要です。

「就労ビザ」に該当する在留資格の代表例としては、「技術・人文知識・国際業務」、「技術」、「技能」、「企業内転勤」などがあります。

就労ビザを申請するにあたっては、予定している仕事の内容がどの在留資格に該当するのかを適切に判断する必要があります。

 

 次のコラム【就労ビザの対象になるのは、どんな外国人?】を読む

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