2019年に、新たな就労ビザ(就労可能な在留資格)として「特定技能ビザ」と「特定活動ビザ46号」が相次いで導入されました。
ここでは、これらの新たな就労ビザと「単純労働」との関係について考えてみたいと思います。
目次
新たな就労ビザである「特定技能ビザ」と「単純労働」との関係
ニュースなどでも大きく取り上げられていましたので、2019年4月に新たな就労ビザ(就労可能な在留資格)として「特定技能ビザ」(在留資格「特定技能」)が導入されたことをご存じの方も多いかと思います。
特定技能ビザにより、人手不足が深刻な14種の特定産業分野に限り、技能試験と日本語試験に合格すれば、高い学歴や長年の実務経験が無くても、外国人が日本で働ける道が開かれました。
14種の特定産業分野は、介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、および外食業です。
これら14種の特定産業分野での業務には、これまで「単純労働」とみなされていた業務が含まれていますので、特定技能ビザにより、日本でも外国人の「単純労働」が解禁されたという認識が一部で広まっています。
しかし、特定技能ビザの要件としては、外国人が「相当程度の知識又は経験を必要とする技能」あるいは「熟練した技能」を有することが定められています。
つまり、特定技能ビザにおいても、あくまで一定レベル以上の専門性または技能が求められています。
*特定技能ビザ(在留資格「特定技能」)について詳しくは、【「特定技能ビザ」徹底解説】をご覧くださいfa-arrow-circle-right。
新た就労ビザである「特定活動ビザ46号」と「単純労働」との関係
2019年5月には、法務省の告示改正により、日本の大学または大学院を卒業した留学生を対象とした「特定活動ビザ46号」(在留資格「特定活動」告示46号)が導入されました。
特定活動ビザ46号では、日本の大学または大学院を卒業し、日本語能力が高い留学生であれば、これまで「単純労働」とみなされていた業務にも従事することができます。
特定活動ビザ46号で従事できる業務の例としては、飲食店での接客業務、工場でのライン作業、小売店での接客販売業務、ホテル・旅館での接客業務、タクシードライバー、介護施設での介護業務などがあります。
しかし、特定活動ビザ46号においても、いわゆる「単純労働」のみを行うことは認められておりません。
特定活動ビザ46号では、「単純労働」に該当する業務と併せて、専門的な業務にも従事することが要件として求められています。
*「特定活動ビザ46号」(在留資格「特定活動」告示46号)について詳しくは、【特定活動ビザ46号」徹底解説】をご覧くださいfa-arrow-circle-right。
新たな就労ビザでも無制限・無条件に「単純労働」が認められているわけではありません
就労ビザでは単純労働に従事できないのが大前提ではありますが、特定技能ビザや特定活動ビザ46号などの新たな就労ビザにより、一定の要件を満たせば、これまで「単純労働」とみなされていた業務でも外国人材を活用できる道が広がったと言えます。
ただし、これらの新たな就労ビザにおいても、決して外国人が無制限・無条件に「単純労働」を行えるわけではありません。
特定技能ビザや特定活動ビザ46号などの新たな就労ビザで外国人材を受け入れる場合には、不法就労を助長するようなことがないように、しっかりと要件を確認し、法律上認められた範囲内で就労してもらうことが重要です。
まとめ
fa-hand-o-upMemo
fa-tags特定技能ビザや特定活動ビザ46号などの新たな就労ビザ(就労可能な在留資格)により、外国人の「単純労働」が解禁されたという認識が一部で広まっていますが、特定技能ビザの場合も特定活動ビザ46号の場合も、あくまで一定レベル以上の専門性や技能が求められます。
fa-tags特定技能ビザや特定活動ビザ46号によって、これまで認められなかった「単純労働」に外国人が従事できる可能性が広がったとは言えますが、決して無制限・無条件に「単純労働」に従事できるわけではありません。
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