経営管理ビザの許可を得るには、行おうとする事業に適正性があることが求められます。
ここでは、この「事業の適正性」について解説させていただきます。
目次
「事業の適正性」とは
経営管理ビザを申請する外国人が行う事業は、適正なものでなければなりません。
具体的には、許認可を必要とする事業を行う場合、許認可の取得によって「事業の適正性」を証明することになります。
許認可を取得するタイミング
許認可は、原則、経営管理ビザを申請する前に取得しておかなければなりません。
経営管理ビザの申請時点では、まだ許認可の審査中というケースもあり得ますが、そういった場合は、許認可の審査中である旨を申請時に説明し、許認可を取得次第、許認可の証明書を提出することになります。
外国人の方が日本で行う代表的な事業の許認可
以下、外国人の方が日本で行う代表的な事業の許認可について説明したいと思います。
・飲食業fa-arrow-circle-right
・中古品売買・中古品輸出入などfa-arrow-circle-right
・免税店fa-arrow-circle-right
・旅行業fa-arrow-circle-right
・不動産業fa-arrow-circle-right
・貿易業fa-arrow-circle-right
飲食業
具体例 | 外国料理のレストランなど |
必要な許認可 | 飲食店営業許可 |
受付窓口 | 店舗の所在地を管轄する保健所(衛生監視事務所) |
手数料 | 自治体によって異なる *大阪市、神戸市、西宮市、尼崎市などは16,000円 |
申請から許可までにかかる期間 | 目安は約2週間 |
*飲食店営業許可を取るためには、店舗が施設基準を満たしていることや、店舗ごとに食品衛生責任者を設置していること(食品衛生責任者講習会の受講料は、大阪市10,500円、神戸市8,000円、西宮市8,000円、尼崎市7,500円)などが要件となります。
*飲み物と軽食(トースト程度)のみを提供する喫茶店などの場合は、「喫茶店営業許可」を取得することで営業できます(手数料は大阪市7,680円、神戸市・西宮市・尼崎市9,600円)。
*「喫茶店営業許可」の場合も、施設基準を満たしていることや、店舗ごとに食品衛生責任者を設置することなどが要件となります。
*パン屋の場合、調理・販売するパンの種類によっては、「飲食店営業許可」に加えて「菓子製造業許可」も必要となる場合があります(自治体により取り扱いが異なります)。
*深夜(午前0時から日の出まで)に酒類をメインで提供するバーなどの場合は、「深夜酒類提供飲食店営業」に該当するため、「飲食店営業許可」の取得に加えて「深夜酒類提供飲食店の営業開始届」の提出も必要となります。
*「深夜酒類提供飲食店の営業開始届」は、飲食店の所在地を管轄する警察署の生活安全課に提出します。
中古品売買・中古品輸出入など
具体例 | 中古車の輸出入、リサイクルショップ、中古ブランド販売店など |
必要な許認可 | 古物商許可 |
申請先 | 営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課 |
手数料 | 19,000円 |
申請から許可までにかかる期間 | 目安は約40日 |
*インターネットでの中古品の売買(オークションサイトの運営)を行う場合も古物商許可が必要となります。
*金属くず(鉄、 アルミ、 ステンレス、 銅のスクラップなど)を売買・交換する場合、都道府県によっては、古物商許可に加えて「金属くず商許可」が必要となります。
*金属くず商許可の申請先は、営業所の所在地を管轄する警察署です(手数料は大阪府7,500円、兵庫県8,500円、申請から許可までにかかる期間の目安は約40日)。
免税店
必要な許認可 | 免税店許可 |
申請先 | 納税地を管轄する税務署 |
手数料 | 不要 |
申請から許可までにかかる期間 | 目安は約1ヵ月 |
*免税店許可を取るためには、次の要件をすべて満たす必要があります。
・免税店になろうとする事業者が消費税の課税事業者であること(注)
・現に国税の滞納(その滞納額の徴収が著しく困難であるものに限る)がないこと
・現に非居住者の利用する場所または非居住者の利用が見込まれる場所に所在する販売場であること
・免税販売手続に必要な人員を配置し、かつ、免税販売手続を行うための設備を有する販売場であること
(注)その課税期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者で、免税事業者に該当する者は、課税選択の手続きを行うことで課税事業者となることができます。
旅行業
具体例 | 旅行代理店・旅行会社など |
必要な許認可(登録) | 旅行業登録 |
申請先 | 第1種:観光庁長官 第2種・第3種・地域限定:主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事 |
営業保証金(供託) | <旅行業協会に加入していない場合> 第1種: 7,000万円 第2種: 1,100万円 第3種: 300万円 地域限定: 15万円 <旅行業協会に加入している場合> 第1種: 1,400万円 第2種: 220万円 第3種: 60万円 地域限定: 3万円 *ただし、旅行業協会の入会金・年会費が必要 |
申請から登録までにかかる期間 | 第2種・第3種の場合、目安は約1カ月 |
旅行業の区分
<第1種旅行業>
国内・海外の募集型企画旅行、受注型企画旅行、手配旅行、他社募集型企画旅行代売など全ての国内・国外の旅行を取り扱える。
<第2種旅行業>
海外の募集型企画旅行以外の全ての国内・国外の旅行を取り扱える。
<第3種旅行業>
国内・国外の受注型企画旅行、手配旅行、他社募集型企画旅行代売を行えるが、自社で募集型企画旅行を取り扱うことができない(ただし、一定の条件を満たせば、国内の募集型企画旅行は可能)。
<地域限定>
国内のいわゆる着地型の観光旅行を取り扱うことができる(一定の条件を満たせば、国内の募集型企画旅行、受注型企画旅行および手配旅行も実施可能)。
*旅行業登録には、基準資産額を満たしていることや、営業所ごとに1人以上の旅行業務取扱管理者を選任すること、登録免許税・申請手数料の納付なども必要となります。
不動産業
具体例 | 不動産の賃貸仲介・売買仲介など |
必要な許認可(免許) | 宅地建物取引業免許 |
申請先 | <国土交通大臣免許:2つ以上の都道府県内に事務所を設置する場合> 国道交通大臣 <都道府県知事免許:1つの都道府県内のみに事務所を設置する場合> 事務所所在地を管轄する都道府県知事 |
登録免許税 | 国土交通大臣免許:90,000円 都道府県知事免許:33,000円 |
申請受付から許可までにかかる期間 | 都道府県知事免許の場合、目安は約5週間 |
*宅地建物取引業免許を取るためには、営業保証金の供託(本店1,000万円+支店ごとに500万円)または不動産保証協会への加入(本店60万円+支店ごとに30万円)が必要になるとともに、宅地建物取引士の設置が求められます。
貿易業
具体例 | 貿易会社など |
必要な許認可 | 扱う物品によって許可・届出が必要 <例> 中古品・リサイクル品:古物商許可 医薬品:医薬品製造販売業許可 食品:食品衛生法に基づく届出(食品等輸入届出書など) 酒類:酒類販売業免許 |
申請先 | 古物商許可:警察署 医薬品製造販売業許可:保健所 食品等輸入届出書:検疫所 酒類販売業免許:税務署 |
*貿易業を行うこと自体は許認可が不要ですが、取り扱う物品によって許可や届出が必要となりますのでご注意ください。
さて、次回のコラム【経営管理ビザの基本条件⑤:事業の安定性・継続性(事業計画書)】fa-arrow-circle-rightでは、5つ目の基本条件となる「事業の安定性・継続性」について解説してみたいと思います。
まとめ
fa-hand-o-upMemo
fa-tags「事業の適正性」の条件をクリアするためには、許認可を必要とする事業を行う場合、原則、経営管理ビザの申請前に許認可を取得しておかなければなりません(ただし、経営管理ビザの申請時点で許認可の審査中でも可)。
fa-tags許認可を取得するための条件や費用などは事業ごとに異なりますので、事前によく確認しておいた方がよいでしょう。
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