ここでは、経営管理ビザの更新の許可を得るためのポイント(注意点)について解説させていただきます。
目次
経営管理ビザが許可されても、通常、1年後には更新の期限が到来します
経営管理ビザの申請が許可される場合、通常、初回は1年の在留期間が与えられます。
つまり、経営管理ビザの申請が許可されても、1年後には更新の期限がやって来ることになります。
経営管理ビザを取得することができても、その後の更新ができなければ、せっかく苦労して日本で立ち上げた事業を続けることが不可能になってしまいます。
ですから、日本で長期的に事業を継続していくためには、経営管理ビザを更新する際のポイントについてもよく知っておいた方がよいでしょう。
更新のポイント
経営管理ビザを更新する際にポイントとなるのは、以下の点です。
・会社の決算が黒字であることfa-arrow-circle-right
・一定レベルの売上があることfa-arrow-circle-right
・役員報酬が少なくとも月額20万円程度以上であることfa-arrow-circle-right
・会社の税金を支払っていることfa-arrow-circle-right
・経営者個人の税金を支払っていることfa-arrow-circle-right
・会社の変更登記を行っていること(登記している内容を変更した場合)fa-arrow-circle-right
・必要な届出を行っていることfa-arrow-circle-right
・必要なスタッフを確保していること(店舗型ビジネスなどの場合)fa-arrow-circle-right
・出国日数が多過ぎないことfa-arrow-circle-right
会社の決算が黒字であること
経営管理ビザを取得する際の基本要件の一つである「事業の安定性・継続性」は、経営管理ビザを更新する際にも重要な要件となります。
経営管理ビザの更新時、事業の安定性・継続性は、主に会社の決算によって判断されます。
ですから、会社の決算が黒字であるということは、事業に安定性・継続性があるという証明になりますし、黒字の額が大きければ大きいほど、経営管理ビザを更新するときには有利になります。
しかし、新規の事業が初年度に赤字決算になることは珍しいことではありません。
また、事業を経営していると、様々な要因により、赤字決算になってしまうことがあります。
ですので、赤字決算だからといって、即座に更新が不許可になるわけではありません。
ただし、赤字決算の場合は、黒字化への道筋を具体的に示した事業計画書を提出することにより、事業の安定性・継続性を立証するなど、更新の許可を得るために何らかの対応策を取る必要があります。
なお、単なる赤字決算ではなく、債務超過に陥ってしまっている場合は、事業計画書だけでなく、中小企業診断士による経営診断書などの提出もさらに必要となります。
一定レベルの売上があること
事業の種類にもよりますが、通常、事業を行っていれば、ある程度の売上が生じるものです。
事業に見合った一定レベルの売上が無いと、事業を行っているとは認められにくいと言えます。
経営管理ビザは、事業の経営や管理を行う外国人のためのビザですので、ちゃんと事業を行っていると認められなければ、更新の許可を得るのは難しくなるでしょう
役員報酬が少なくとも月額20万円程度以上であること
役員報酬が低すぎると、日本での生活費はどうやって得ていたのかという疑念が生じますし、実際には、経営管理ビザで認められている活動以外の活動を行っていたのではないかという疑義を持たれてしまいます。
また、たとえ経営状態が悪化し、経費の削減が必要となった場合でも、経営管理ビザを更新するためには、月額20万円程度を下回る額まで役員報酬をカットすることは避けることをお勧めします。
会社の税金を支払っていること
法人税をはじめとする会社関係の税金を納めていることも、経営管理ビザの更新時のポイントとなります。
経営者個人の税金を支払っていること
会社関係の税金に加えて、経営者個人の住民税などの税金も納めている必要があります。
会社の変更登記を行っていること(登記している内容を変更した場合)
登記している内容を変更した場合(例えば、会社の住所を移転した場合、役員を変更した場合、事業目的を変更した場合など)は、法務局で変更登記を行わなければなりません。
必要な届出を行っていること
会社関係および経営者個人に関して必要な届出を期限内に行っていることも、更新時のポイントとなります。
例えば、会社(事務所)の住所を移転した場合や、経営者個人が引っ越しをした場合などは、届出を行わなければなりません。
会社(事務所)の住所を移転した場合は、14日以内に管轄の出入国在留管理局へ「所属(活動)機関に関する届出」を提出する必要があります。
経営者個人が引っ越しをした場合は、14日以内に、引っ越し先の市区町村の役所へ届出を行う必要があります。
うっかり忘れて届出の期限を過ぎてしまった場合でも、気づいたときには直ぐに届出を行うようにしましょう。
必要なスタッフを確保していること(店舗型ビジネスなどの場合)
経営管理ビザは、あくまで経営者・管理者に対して与えられるビザですので、経営管理ビザをお持ちの外国人の方は、店舗などの現場で働くことは認められていません。
店舗型ビジネス(例えば、飲食店や、小売店、リサイクルショップ、リラクゼーションサロンなど)の場合、店舗で働くスタッフが確保されていなければなりません。
飲食店であれば、調理担当やホール担当などのスタッフが確保されている必要がありますし、リラクゼーションサロンであれば、実際に施術を行うスタッフが確保されている必要があります。
店舗型ビジネスなど、現場で働くスタッフを必要とする事業にも関わらず、スタッフが確保できていないと、経営管理ビザでは認められていない現場での業務に経営者が従事していたのではないかという疑念を持たれることになり、経営管理ビザの更新時には大きな問題になってしまいます。
出国日数が多過ぎないこと
元々本国で事業を経営されている方や、海外出張が多い業種に携わっている方などの場合、本国に帰国する機会や海外渡航の機会が多く、その結果、出国日数が多くなってしまうことがあります。
出国日数が何日以上になると更新が不許可になる、という明確な基準が定められているわけではありません。
しかし、1年の大半は日本にいない場合などは、合理的な理由が無い限り、経営管理ビザの更新時には不利になるでしょう。
また、経営管理ビザを取得した方の中には、将来的に永住ビザを取ることや、日本へ帰化することをお考えの方もいらっしゃるかと思います。
永住ビザを申請する場合には、原則、引き続き10年以上日本に住んでいる必要がありますし(申請人の状況によっては例外規定があります)、帰化を申請する場合には、原則、引き続き5年以上日本に住んでいることが求められます(申請人の状況によっては例外規定があります)。
しかし、1回の出国日数が90日以上あったり、年間の出国日数の合計が100日~150日以上あったりすると、引き続き日本に住んでいたとは認められない恐れがあり、永住ビザの取得や帰化の許可を目指す上では不利になってしまいます。
ですから、特に将来的に永住ビザを取得することや、日本へ帰化することをお考えの場合、1回の出国日数が90日以上にならないようにするとともに、年間の出国日数の合計がなるべく100日以上にならないように注意した方がよいでしょう。
次回のコラムfa-arrow-circle-rightでは、経営状況により経営管理ビザの更新が不許可になるケースについて解説してみたいと思います。
まとめ
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fa-tags経営管理ビザを取得できても、その後の更新が不許可になると、せっかく日本で立ち上げた事業を継続することができなくなってしまいます。経営管理ビザの取得後も長期的に事業を続けていくためには、更新の許可を得るためのポイントをしっかり把握しておきましょう。
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