ビザ(VISA)のスタンプとインクパッドと2つのパスポート

 訪日外国人の増加に伴い、「ビザ」という言葉を耳にする機会も増えたかと思います。

 しかし、「ビザ」とはそもそも何かと聞かれたら、どうお答えになりますか?

 何となくイメージはできても、具体的に説明するのは難しいのではないでしょうか。

 そこで、まずは「ビザ」という用語について解説してみたいと思います。

「ビザ」には、「査証」と「在留資格」という異なる2つの概念が含まれています

 実は、一般的に用いられている「ビザ」という用語には、「査証」と「在留資格」という異なる2つの概念が含まれています。

 

 一般的に普及している「ビザ」が俗称的な用語であるのに対し、「査証」と「在留資格」はそれぞれ正式な法律上の用語です。

 そして、「査証」と「在留資格」とでは、意味合いが全く異なります。

 

分かりやすく遊園地に例えてみると

 「査証」と「在留資格」との関係をイメージしてもらいやすいように、遊園地に例えてみましょう。

観覧車がある遊園地内の広場

遊園地に例えると、「査証」は入場券

チケット売場の看板

 遊園地に行きたいと思っても、入場券が無ければ中には入れてもらえませんよね。

 遊園地の中に入るには、入場券を手に入れなければなりません。

 この入場券が、来日する外国人にとっての「査証」に相当します。

 

 つまり、日本に入国したい外国人は、「査証」によって入国が可能となるわけです。

 ですから、遊園地に例えた場合、「査証」は、入場券のようなものと言えます。

 

遊園地に例えると、「在留資格」は乗り物の乗車券

疾走するジェットコースター

 さて、入場券を手にして遊園地の中に入った後は、乗り物に乗って楽しもうということになります。

 しかし、乗り物に乗るには、入場券とは別に、乗り物の乗車券が必要です。

 

 例えば、ジェットコースターに乗りたいのであれば、ジェットコースターの乗車券が必要となりますし、観覧車に乗りたいのであれば、観覧車の乗車券が必要となります。

 この乗車券が、日本で何らかの活動を行いたい外国人にとっての「在留資格」に相当します。

 

 つまり、日本の学校で勉強する、日本で働く、日本で結婚相手の日本人と暮らすなどの活動を行いたいのであれば、外国人は、その活動を行うための「在留資格」を取る必要があります。

 ですから、遊園地に例えた場合、「在留資格」は、乗り物乗の車券のようなものと言えます。

 

「ビザ」という用語の使われ方

 一般的に用いられている「ビザ」には、「査証」と「在留資格」という2つの意味合いが含まれていることから、「査証」の意味合いで「ビザ」という用語が使われることもあれば、「在留資格」の意味合いで「ビザ」という用語が使われることもあります。

 

 「就労ビザ」や「配偶者ビザ」といった言葉も一般的に使われていますが、「就労ビザ」や「配偶者ビザ」の「ビザ」は、「査証」ではなく、「在留資格」を意味します。

 例えば、就労活動(つまり、報酬を得る活動)を日本で行うには、就労活動が可能な「在留資格」が必要ですが、この場合の「在留資格」が一般的に「就労ビザ」と呼ばれています。

 

 一方、「入国ビザ」という言葉が使われることもありますが、この場合の「ビザ」は、「在留資格」ではなく、「査証」を意味しています。

 

「査証」と「在留資格」の理解を深めれば、「ビザ」がより分かるにようになります

 こうした混同はややこしいとお感じになるかもしれませんが、「査証」と「在留資格」についてそれぞれ理解を深めれば、使われ方から「ビザ」がどちらを意味しているのかが分かるにようになります。

 

 そこで、次回以降は、「査証」と「在留資格」について、もう少し掘り下げて説明してみますので、どうぞご覧になってください。

 

 【「査証」のポイント解説】

 【査証免除国・地域の一覧】

 【「在留資格」のポイント解説】

 

本サイトでの「ビザ」の用法

 ここまで説明しましたように、「査証」と「在留資格」とは全く異なる概念ですので、本来は厳密に使い分けるべきです。

 しかし、「在留資格」を意味する「ビザ」という表現が一般的に定着している点を考慮し、本サイトでは、「ビザ」を「在留資格」の意味合いでも用いています。

 

 例えば、本サイトでの「就労ビザ」という用語は、就労可能な在留資格の総称として用いています。

 また、必要に応じて、「就労ビザ(就労可能な在留資格)」あるいは「就労可能な在留資格(就労ビザ)」といった形での併記も使用しています。

 

まとめ

 

Memo   

一般的に用いられている「ビザ」という用語は、「査証」と「在留資格」という異なる概念を含む俗称的な用語です。

遊園地に例えると、「査証」は、遊園地に入るための入場券(日本に入国するために必要となるもの)、「在留資格」は乗り物に乗るための乗車券(日本で何らかの活動を行うために必要となるもの)であると言えます。

 

 次のコラム【「査証」のポイント解説】を読む

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