人差し指を立てて注意を促す白い服の女性

 調理師として技能ビザを申請する上で重要なのが、実務経験をいかに証明するかという点です。

 そこで、ここでは、実務経験の証明に関する注意点について解説させていただきます。

実務経験は「在職証明書によって証明します

 実務経験は、過去に勤務していた店舗から「在職証明書」を発行してもらって証明します。

 

 「在職証明書」とは、現在雇用している従業員については、その従業員が現在在職していること、過去に雇用していた従業員については、その従業員が過去に在職していたことを勤務先が証明する書類です。

 

 タイ料理以外の外国料理の調理師で技能ビザを取得する場合は、10年以上の実務経験が必要となりますので、少なくとも10年分の実務経験を在職証明書で証明しなければなりません。

 なお、一定の条件を満たすタイ料理人の場合は、5年以上の実務経験があればよいので、少なくとも5年分の実務経験を在職証明書で証明することになります。

 

 例えば、中華料理や、インド・ネパール料理、ベトナム料理など、タイ料理以外の外国料理の調理師は、A店で5年勤務した後、B店で3年、そしてC店で2年勤務しているといった場合でも、合算すれば10年ですので、実務経験の条件を満たすことができます。

 ただし、このように複数の店舗での勤務歴を合算する場合は、それぞれの勤務先から在職証明書を発行してもらわなければなりませんので、その分手間がかかることになります。

 

過去に勤務していた店舗が閉店している場合

 また、過去に勤務していた店舗が閉店してしまっている場合や、存続していても在職証明書を発行してもらえない場合などは、たとえ10年以上の実務歴があったとしても立証することが不可能ですので、実務経験の条件をクリアできません。

 

 例えば、A店で1年勤務した後、B店で4年、そしてC店で5年勤務しており、10年以上の実務経験があるというケースを想定してみましょう。

 このようなケースでも、例えば、A店が既に閉店してしまっていて在職証明書を発行してもらえないという場合は、9年分の実務経験しか証明できませんので、実務経験の条件をクリアすることができません。

 

 つまり、過去の勤務先が存続していること、そして、過去の勤務先との関係が良好であること(言い換えれば、在職証明書を発行してもらえる関係にあること)がポイントになります。

 

在職証明書の記載内容に関する注意点

 残念ながら、調理師としての実務経験を偽って技能ビザを申請するケースが多発していることから、出入国在留管理局では、実務経験に関する審査を慎重に行っています。

 ですから、実務経験については丁寧に立証する必要があります。

 そのため、在職証明書の記載内容に関しても注意すべき点があります。

 

 在職証明書には、店舗名や、店舗の住所、電話番号、在職期間などが明記されていなければなりません。

 例えば、中国人調理師の場合、在職証明書の勤務地と、戸口簿の住民登録上の住所とが食い違っていると、立証資料として信用してもらえないでしょう。

 また、在職証明書は、レターヘッドの付いた正式なものでないと、立証資料として認めてもらえない恐れがあります。

 

過去に勤務していた店舗の写真も提出しましょう

 実務経験の立証資料としては、在職証明書に加えて、過去に勤務していた店舗の写真も提出することをお勧めします。

 店舗の外観、客席、厨房は勿論のこと、本人が調理師として働いている様子や、同僚と一緒に写っている写真なども提出できれば、一層信憑性が増します。

 

 

 さて、調理師で技能ビザを申請するケースの中でも、最も多いのが中国料理の調理師として技能ビザを申請するケースです。

 そこで、次回のコラム【調理師で技能ビザを申請する際の注意点③(中国人の調理師を雇用する場合に確認すべき点)】では、中国料理の調理師を雇用する際の注意点について解説させていただきます。

 

まとめ

 

Memo   

実務経験は、過去の勤務先から在職証明書を発行してもらって証明します。

過去の勤務先が閉店してしまっている場合や、存続していても在職証明書を発行してもらえない場合などは、たとえ実際に10年以上の実務経験があっても、立証不可能となり、実務経験の条件をクリアできなくなります。

在職証明書は、レターヘッドの付いた正式なものが望ましく、店舗名、店舗の住所、電話番号、在職期間などが記載されている必要があります。

過去に勤務していた店舗の写真や勤務当時の写真なども提出できれば、重要な立証資料になるでしょう。

 

 前のコラム【調理師で技能ビザを申請する際の注意点①(勤務先は外国料理の専門店である必要があります)】を読む

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