机の上に開かれた本とその上に浮かぶ緑色のクエスチョンマーク

 日本の大学・大学院を卒業・修了しており、高い日本語能力を有する外国人留学生を主な対象として、新たな就労ビザ「特定活動ビザ46号」が20195月に設けられました。

 では、「特定活動ビザ46号」とはどのような就労ビザなのでしょうか。

外国人留学生の就職の現状

 「特定活動ビザ46号」がどのような就労ビザなのかを知るために、まずは、外国人留学生の就職の現状を把握しておきましょう。

 

日本で学ぶ外国人留学生の数

 独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の調査によると、日本で学ぶ外国人留学生の数は年々増加しており、2019年(令和元年)51日時点で外国人留学生の数は312,214人に達しています。

 

<出身国(地域)別外国人留学生数 上位10か国(令和元年5月1日現在)>

国(地域名)留学生数(人)
中国124,436
ベトナム73,389
ネパール26,308
韓国18,338
台湾9,584
スリランカ7,240
インドネシア6,756
ミャンマー5,383
タイ3,847
バングラデシュ3,527
その他33,406
合計312,214
*『2019(令和元)年度外国人留学生在籍状況調査』(日本学生支援機構)より抜粋

 

外国人留学生の日本国内での就職率

 文部科学省が発表した「外国人留学生の就職促進について」によると、平成29年度に大学(学部・院)を卒業・修了した外国人留学生は、24,636人もいるにも関わらず、日本国内での就職率は、わずか約35パーセント(8,623人)に留まっています。

 

 「平成29年度私費外国人留学生生活実態調査」(日本学生支援機構)によると、日本国内での就職を希望する外国人留学生は、全体の約65パーセントを占めておりますので、日本国内での就職が叶わない外国人留学生の数が非常に多いのが現状と言えます。

 

留学ビザから就労ビザへ変更するため厳格な要件

 外国人留学生が日本で就職するためには、留学ビザから就労ビザ(就労可能な在留資格)への変更が必要となりますが、就労ビザが許可されるためには厳格な要件をクリアしなければなりません。

 

 例えば、最も一般的な就労ビザである「技術・人文知識・国際業務ビザ」(在留資格「技術・人文知識・国際業務」)は、接客業務(例えば、飲食店・小売店での接客)や製造業務(例えば、工場のライン作業)などの業務に従事する職種では、許可されません。

 

 ですから、卒業後に、こういった職種(入管法上、いわゆる「単純労働」とみなされる業務)で働くことを希望する留学生は、就労ビザへの変更が許可されず、日本での就職が叶わないという状況がありました。

 

特定活動ビザ46号の目的と対象

 このような状況を踏まえ、法務省の告示改正により20195月に設けられたのが、新たな就労ビザ「特定活動ビザ46号」(在留資格「特定活動」告示46号)です。

 特定活動ビザ46号は、外国人留学生が日本で就職できる機会を拡大することを目的としており、日本の大学・大学院を卒業・修了した日本語能力が高い留学生を主な対象としています。

 

特定活動ビザ46号により期待される外国人留学生の就職機会の拡大

 特定活動ビザ46号では、学歴や日本語能力などの一定の要件を満たせば、日本語能力を活かしながら、例えば、接客業務や製造業務など、これまで「単純労働」とみなされていた業務にも従事することが可能になりました。

 つまり、日本語能力が高いにも関わらず、これまでは職種的に「技術・人文知識・国際業務ビザ」などの就労ビザの取得が難しかった外国人留学生にとっては、特定活動ビザ46号により、日本国内で就職できる可能性が広がったと言えるでしょう。

 

特定活動ビザ46号の在留期間

 特定活動ビザ46号の在留期間は、5年、3年、1年、6ヵ月、または3ヵ月です。

 しかし、留学ビザから特定活動ビザ46号への変更時および特定活動ビザ46号の初回の更新時に決定される在留期間は、原則、1年です。

 

 

 さて、次回のコラム【特定活動ビザ46号の要件(条件)】では、特定活動ビザ46号の要件について詳しく解説してみたいと思います。

 

まとめ

 

Memo   

日本国内での就職を希望する外国人留学生は多いものの、留学ビザから就労ビザへ変更するための要件が厳格に定められていることなどにより、外国人留学生の日本での就職率は、低い水準に留まっているのが現状です。

2019年5月に設けられた新たな就労ビザ「特定活動ビザ46号」は、外国人留学生の日本での就職機会を拡大することを目的としており、日本の大学・大学院を卒業・修了した日本語能力が高い留学生を主な対象にしています。

日本語能力が高いにも関わらず、これまでは業種的に就労ビザの取得が難しかった留学生にとっては、特定活動ビザ46号により、日本での就職の機会が広がったと言えます。

 

 次のコラム【特定活動ビザ46号の要件(条件)】を読む

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