受入れ機関(1号特定技能外国人の勤務先)は、1号特定技能外国人が安定した職業生活・日常生活・社会生活を送れるように、1号特定技能外国人に対して様々な支援を実施することが求められています。
そのため、受入れ機関は、以下のような支援体制の基準も満たす必要があります。
なお、登録支援機関に支援を全部委託する場合には、以下の基準を満たすものとみなされます。
1号特定技能外国人に対する支援体制の基準
(1) 以下のいずれかに該当することfa-arrow-circle-right
(ア) 過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ。)の受入れ又は管理を適正に行った実績があり、かつ、役職員の中から、支援責任者及び支援担当者(事業所ごとに1名以上。以下同じ。)を選任していること(支援責任者と支援担当者は兼任可。以下同じ)fa-arrow-circle-right
(イ) 役職員で過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ。)の生活相談等に従事した経験を有するものの中から、支援責任者及び支援担当者を選任していることfa-arrow-circle-right
(ウ)(ア)又は(イ)と同程度に支援業務を適正に実施することができる者で、役職員の中から、支援責任者及び支援担当者を選任していることfa-arrow-circle-right
(2) 外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を有していることfa-arrow-circle-right
(3) 支援状況に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備えて置くことfa-arrow-circle-right
(4) 支援責任者及び支援担当者が、支援計画の中立な実施を行うことができ、かつ、欠格事由に該当しないことfa-arrow-circle-right
(5) 5年以内に支援計画に基づく支援を怠ったことがないことfa-arrow-circle-right
(6) 支援責任者又は支援担当者が、外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施することができる体制を有していることfa-arrow-circle-right
(7) 分野に特有の基準に適合すること(分野所管省庁の定める告示で規定)fa-arrow-circle-right
支援体制の基準(1)
(1) 以下のいずれかに該当すること
(ア)過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ。)の受入れ又は管理を適正に行った実績があり、かつ、役職員の中から、支援責任者及び支援担当者(事業所ごとに1名以上。以下同じ。)を選任していること(支援責任者と支援担当者は兼任可。以下同じ)
(イ)役職員で過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ。)の生活相談等に従事した経験を有するものの中から、支援責任者及び支援担当者を選任していること
(ウ)(ア)又は(イ)と同程度に支援業務を適正に実施することができる者で、役職員の中から、支援責任者及び支援担当者を選任していること
支援体制の基準(1)は、中長期在留者の受入れ実績などに関する基準です。
<支援責任者>
「支援責任者」とは、特定技能所属機関の役員または職員(常勤でなくてもかまいません)で、支援担当者を監督する立場にある者のことです。
具体的には、支援責任者は、以下の事項について統括管理することが求められます。
・1号特定技能外国人支援計画の作成に関すること
・支援担当者その他支援業務に従事する職員の管理に関すること
・支援の進捗状況の確認に関すること
・支援状況の届出に関すること
・支援状況に関する帳簿の作成・保管に関すること
・制度所管省庁、業所管省庁その他関係機関との連絡調整に関すること
・その他支援に必要な一切の事項に関すること
<支援担当者>
「支援担当者」とは、特定技能所属機関の役員または職員(常勤であることが望まれます)で、1号特定技能外国人支援計画に沿った支援を行うことを任務とする者のことです。
支援責任者が支援担当者を兼任することも可能です。
その場合、兼任者は、支援責任者の基準と支援担当者の基準との両方に適合しなければなりません。
支援担当者が複数の1号特定技能外国人の支援を行うことも可能です。
<中長期在留者の受入れ実績>
(ア)に関して、「中長期在留者の受入れ又は管理を適正に行った」とは、少なくとも1名以上、就労系の在留資格(出入国管理及び難民認定法(入管法)別表第1の1の表、2の表および5の表の上欄の在留資格)で在留する中長期在留者の受入れまたは管理を行っており、その間、入管法、技能実習法、および労働関係法令といった、外国人の受入れまたは管理に関連する法令の規定を遵守していることを意味します。
(イ)に関して、「生活相談業務」とは、例えば、1号特定技能外国人に対する支援のうち生活に必要な契約の支援、生活オリエンテーション、定期的な面談などに相当するような内容の業務を意味します。
なお、職業紹介事業者が、外国人労働者に求人情報を紹介する行為のみをもっては、生活相談業務にはなりません。
「生活相談業務」は、相談内容や件数によっては限定されませんが、業務として行われたことが必要ですので、個人的な人間関係に基づいて行う相談(いわゆるボランティア活動を含む)は、生活相談業務の実績になりません。
なお、生活相談の対象は、就労系の在留資格(出入国管理及び難民認定法(入管法)別表第1の1の表、2の表および5の表の上欄の在留資格)で在留する中長期在留者に限られています。
(ウ)に関して、「 (ア)又は(イ)と同程度に支援業務を適正に実施することができる者」とは、(ア)にも(イ)にも該当しない場合でも、中長期在留者の適正な受入れ実績などがある機関と同程度に支援業務を適正に実施することができる者であり、かつ、これまで日本人労働者などを適正かつ適切に雇用してきた実績のある機関であって責任を持って適切に支援を行うことが見込まれる者を意味します。
労働関係法令を遵守していることが求められることから、労働基準監督署から是正勧告を受けていないことなどが必要です。
「 (ア)又は(イ)と同程度に支援業務を適正に実施することができる者」と認められるか否かは、提出された資料に基づいて個別に判断されることになります。
なお、主な考慮要素としては、日本に在留する外国人の雇用管理や生活相談を行った実績や、支援を適切に行う能力・体制があると判断できるような事業実績、事業の公益性などが挙げられます。
支援体制の基準(2)
(2) 外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を有していること
支援体制の基準(2)は、1号特定技能外国人が十分に理解できる言語による支援体制に関する基準です。
1号特定技能外国人に対する支援が適正に行われるために、以下の体制が整っていることが求められます。
・特定技能外国人が十分に理解できる言語による適切な情報提供体制
・担当職員を確保しており、特定技能外国人が十分に理解できる言語による適切な相談体制
「十分に理解することができる言語」は、特定技能外国人の母国語に限定されませんが、特定技能外国人が内容を十分に理解できる言語でなければなりません。
「特定技能外国人が十分に理解できる言語による適切な相談体制」は、通訳者を職員として雇用することまでは求められておらず、必要なときに委託などにより通訳者を確保できれば足ります。
支援体制の基準(3)
(3) 支援状況に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
特定技能所属機関は、1号特定技能外国人への支援状況に関する文書を作成し、特定技能雇用契約の終了日から1年以上保管することが求められます。
支援体制の基準(4)
(4) 支援責任者及び支援担当者が、支援計画の中立な実施を行うことができ、かつ、欠格事由に該当しないこと
支援体制の基準(4)は、支援の中立性に関する基準です。
支援の適正性や中立性を確保するため、支援責任者および支援担当者には以下の点が求められます。
・1号特定技能外国人を監督する立場にないこと、かつ、特定技能所属機関と1号特定技能外国人との間に紛争が生じた場合に、少なくとも中立的な立場であること
・一定の欠格事由に該当しないこと
支援責任者・支援担当者は、1号特定技能外国人に対する指揮命令権を持たない者(例えば、1号特定技能外国人と異なる部署の職員など)である必要があります。
つまり、1号特定技能外国人の直属の上司は、支援責任者・支援担当者になることはできません。
たとえ異なる部署の職員であっても、1号特定技能外国人に実質的に指揮命令権を持ち得る立場にある者は、支援責任者・支援担当者になることはできません。
ですから、1号特定技能外国人とは形式上は異なる部署の職員であっても、代表取締役や、1号特定技能外国人が所属する部署を監督する長(例えば、1号特定技能外国人の所属する部署が製造課である場合の製造部長)など、組織図を作成した場合に縦のラインにある者は、支援責任者・支援担当者として適格ではありません。
支援体制の基準(5)
(5) 5年以内に支援計画に基づく支援を怠ったことがないこと
支援体制の基準(5)は、支援を実施する義務の不履行に関する基準です。
特定技能所属機関が1号特定技能外国人に対する支援を怠ったことがある場合は、支援を適正に実施する体制が十分であるとは認められません。
そこで、特定技能雇用契約の締結前の5年以内および締結後に支援を怠ったことがないことが求められます。
支援体制の基準(6)
(6) 支援責任者又は支援担当者が、外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施することができる体制を有していること
支援体制の基準(6)は、定期的な面談の実施に関する基準です。
特定技能外国人だけでなく、特定技能外国人を監督する立場にある者とも定期的な面談を行うことが求められます。
ただし、漁業分野においては、漁船によっては長期間にわたり洋上で操業し、3ヵ月以上帰港しないこともあることや、洋上での通信環境の脆弱さなどに鑑み、面談に代えて、3ヵ月に1回以上の頻度で無線や船舶電話によって特定技能外国人および特定技能外国人の監督者と連絡を取ることとし、帰港した際に支援担当者が面談を行うこととしてもかまいません。
「監督する立場にある者」とは、特定技能外国人と同一の部署の職員であるなど、特定技能外国人に対して指揮命令権を持つ者(例えば、特定技能外国人の直属の上司)を意味します。
派遣形態による受入れの場合には、派遣先の監督的立場にある者との面談を行うことが必要になります。
「定期的な面談」とは、3ヵ月に1回以上の頻度で行う面談を意味します。
「面談」とは、直接に対面して話をすることを意味しますが、面談を効果的に行うために、質問予定の項目について、あらかじめアンケートなどを行ってもかまいません。
支援体制の基準(7)
(7) 分野に特有の基準に適合すること(分野所管省庁の定める告示で規定)
特定産業分野ごとの特有の事情を考慮して個別に定める基準に適合していることが求められます。
告示で基準が定められている場合であっても、その内容は分野ごとに異なります。
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