開いた通帳の上にペンと紙幣が置かれており、その横に計算機がある

 ここでは、永住ビザを取得するための2つ目の基本要件である「独立生計要件」について説明させていただきます。

「独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること」とは

 ② 独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること(独立生計要件)

 

 「独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること」とは、日常生活において公共の負担になっておらず、かつ、本人の職業または資産により将来的に安定した生活が見込まれることを意味します。

 具体的には、生活保護を受給しておらず、現在も将来も自立して生活することが可能であると認められる場合には、独立生計要件をクリアできます。

 

 独立生計要件をクリアできる年収額がいくらなのかについては、公表されてはいませんが、目安としては300万円以上と考えられています。

 

扶養家族がいる場合の年収の目安

 永住ビザを申請する方に扶養家族がいる場合は、扶養家族の人数分、独立生計要件をクリアするための年収額が高くなります。

 あくまで目安ではありますが、単身の場合の基準年収額300万円に、扶養家族1人につき60万円~80万円程度プラスする必要があると考えられています。

 

 従いまして、扶養家族がいる方については、独立生計要件をクリアし得る年収額の目安は、以下のようになります。

 

  ・扶養家族1人: 年収額360万円~380万円程度(300万円+60~80万円×1)

  ・扶養家族2人: 年収額420万円~460万円程度(300万円+60~80万円×2)

  ・扶養家族3人: 年収額480万円~540万円程度(300万円+60~80万円×3)

  ・扶養家族4人: 年収額540万円~620万円程度(300万円+60~80万円×4)

  ・扶養家族5人: 年収額600万円~700万円程度(300万円+60~80万円×5)

  ・扶養家族6人: 年収額660万円~780万円程度(300万円+60~80万円×6)

  ・扶養家族7人: 年収額720万円~860万円程度(300万円+60~80万円×7)

 

世帯収入により独立生計要件をクリアできる可能性

 永住ビザの申請人が専業主婦または専業主夫で収入が無い場合や、夫婦共稼ぎであっても永住ビザの申請人の収入のみでは十分ではない場合などがあります。

 こういったケースでも、世帯単位で安定した生活を継続できる収入があると認められれば、独立生計要件をクリアすることが可能です。

 

 いくつか例を挙げてみましょう。

 

  • 夫婦二人世帯で、専業主婦である妻が永住ビザを申請する場合

  共働きの夫婦二人世帯で、扶養を受けていない妻が永住ビザを申請する場合

  夫婦二人世帯で、夫の扶養範囲内でパート収入がある妻が永住ビザを申請する場合

 

夫婦二人世帯で、専業主婦である妻が永住ビザを申請する場合

 夫の年収により、夫婦二人で安定した生活を継続できると認められれば、独立生計要件をクリアできることになります。

 具体的には、夫に360万円~380万円程度の年収があれば、独立生計要件をクリアできる可能性があります。

 

共働きの夫婦二人世帯で、扶養を受けていない妻が永住ビザを申請する場合

 夫の年収と妻の年収とを合算した世帯年収によって、夫婦二人で安定した生活を継続できると認められれば、独立生計要件をクリアできます。

 

夫婦二人世帯で、夫の扶養範囲内でパート収入がある妻が永住ビザを申請する場合

 夫の年収により、夫婦二人で安定した生活を継続できると認められれば、独立生計要件をクリアできることになります。

 この場合の注意点は、審査上、扶養を受けている人のアルバイト・パート収入は、世帯収入には含まれないという点です。

 

 例えば、夫の年収額が280万円、妻のパート年収が年額90万円の場合、合算すれば370万円なのですが、世帯年収にパート収入の90万円を含めることはできません。

 ですから、この場合の世帯年収は280万円となり、夫婦二人世帯の目安となる360万円~380万円程度の年収額を下回ってしまいます。

 つまり、夫婦二人世帯で、配偶者の扶養範囲内でアルバイト・パート収入がある方が永住ビザを申請する場合は、配偶者の年収のみで360万円~380万円程度なければなりません。

 

経営管理ビザを持っている経営者が永住ビザを申請する場合

 経営管理ビザを持っている経営者が永住ビザを申請する場合は、経営する会社の経営状態も審査の対象となります。

 具体的には、決算状況などにより、経営する会社に安定性や継続性が無いと判断されれば、独立生計要件をクリアできなくなる恐れがあります。

 ですから、経営管理ビザを持っている経営者の方が永住ビザの取得を希望する場合は、まずは、事業の経営を安定させることが重要です。

 

年収が審査される期間

 以下のように、永住ビザの申請人(または申請人の扶養者)の年収が審査される期間は、永住ビザの申請人が現在持っているビザ(在留資格)あるいは高度人材ポイントによって異なります。

 

永住ビザの申請人(または申請人の扶養者)の年収が審査される期間
就労ビザ(技術・人文知識・国際業務ビザ、技能ビザ、経営管理ビザなど)をお持ちの方直近5年分
家族滞在ビザ(在留資格「家族滞在」)をお持ちの方直近5年分
配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」・「永住者の配偶者等」)をお持ちの方直近3年分
定住ビザ(在留資格「定住者」)をお持ちの方直近5年分
高度人材ポイントが70点以上の方直近3年分
高度人材ポイントが80点以上の方直近1年分

 

 年収額は、審査の対象となる期間の全ての年で、目安となる額(例えば、単身の場合300万円)以上であることが望ましいです。

 

 例えば、就労ビザ(技術・人文知識・国際業務ビザ、技能ビザ、経営管理ビザなど)をお持ちの単身の方であれば、直近5年間の全ての年で年収額が300万円以上あることが望ましく、配偶者ビザをお持ちの被扶養者の方(夫婦二人世帯)であれば、直近3年間の全ての年で扶養者の年収額が360~380万円以上あることが望ましいです。

 

 次回のコラム【永住ビザの基本要件③:国益要件】では、3つ目の基本要件である「国益要件」について解説させていただきます。

 

まとめ

 

Memo   

「独立生計要件」で求められる「独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること」とは、公共の負担になっておらず、本人の仕事や資産により、自立して生活することができることを意味します。

年収の目安は300万円以上と考えられています(ただし、扶養家族がいる場合、扶養家族1人につき60万円~80万円程度プラスする必要があります)。

永住ビザの申請人本人に収入が無い場合や、永住ビザの申請人の収入だけでは十分ではない場合などでも、世帯としての収入により、独立生計要件をクリアできるケースがあります。

年収が審査される期間は、永住ビザの申請人が現在持っているビザ(在留資格)などにより異なります。例えば、就労ビザをお持ちの方の場合、直近5年分の年収が審査されます。

 

 前のコラム【永住ビザの基本要件①:素行善良要件】を読む

 次のコラム【永住ビザの基本要件③:国益要件】を読む

 【「永住ビザ」徹底解説】の目次へ戻る

 

行政書士オフィスJ(兵庫県西宮市)は、大阪・神戸間で、就労ビザなどをお持ちの方の永住ビザの申請(永住許可申請)をサポートしております

屋外で一緒に空を見上げる国際色豊かなスタッフ

 <主な対応エリア:大阪・神戸・阪神エリア(西宮、尼崎、芦屋、伊丹、宝塚など)> *その他のエリアも可能な限り対応させていただきます。

 永住ビザ申請(永住許可申請)サポート業務に関するサービス内容・料金などについては、こちらをご覧ください

 永住ビザ申請(永住許可申請)に関する面談のご予約・お問い合わせなどは、こちらのメールフォームからどうぞ