ここでは、帰化申請の4つ目の基本条件である「生計条件」について解説させていただきます。
目次
「生計条件」とは
「生計条件」とは、国籍法の第5条第1項第4号に定められている次の条件です。
簡単に言えば、この条件では、日本で安定して暮らしていけるだけの収入があり、生計が成り立っていることが求められています。
帰化を申請する本人に収入が無い場合
たとえ帰化を申請する本人に収入が無い場合であっても、配偶者の扶養を受けており、配偶者の収入で生計が成り立っていれば、生計条件をクリアすることができます。
例えば、無収入で夫の扶養を受けている妻が帰化を申請する場合は、夫の収入によって生計が成り立っていれば、生計条件をクリアできます。
収入の目安
生計条件をクリアし得る収入の目安は、月収18万円程度(手取り)がボーダーラインと考えられます。
会社経営者または会社役員の場合でしたら、役員報酬の月額が手取りで18万円程度、配偶者の扶養を受けている方でしたら、配偶者の月収が手取りで18万円程度というのが一応の目安になります。
収入と支出のバランスが重要です
手取りで月収18万円以上あれば、必ず生計条件をクリアすることができるというわけではありません。
生計条件の審査では、収入の高さよりも、収入と支出のバランスが取れていることが重視されます。
ですから、たとえ年収がいくら高くても、支出が多くて、家計が赤字になっているような状態では、生計条件をクリアするのは難しくなります。
逆に、年収がそれほど高くなくても、支出を低く抑えて家計が黒字になっていれば、生計条件をクリアできる可能性が高くなると言えます。
例えば、社宅や寮に住んでいて家賃が安い場合や、実家で親と同居している、あるいはローンを払い終えた持ち家に住んでいるため家賃がかからないといった場合は、その分支出が抑えられますので、収入があまり高くなくても収入と支出のバランスが取りやすいのではないでしょうか。
帰化申請時には、月単位の収入と支出をまとめた「生計の概要(その1)」という書類を提出します。
この「生計の概要(その1)」で収入と支出とのバランスが取れているか否かが判断されます。
「生計の概要(その1)」のサンプル
(法務省「帰化許可申請のてびき」より)
「生計の概要(その1)」に記入する収入には、給料や事業収入、役員報酬の他にも、年金、親族からの仕送り、養育費、児童手当なども含まれます。
「生計の概要(その1)」に記入する支出には、食費、住居費(家賃)、教育費、ローン・借金の返済金、親族への仕送り、水道光熱費、通信費などが含まれます
貯金額よりも毎月の収入が重視されます
貯金がいくらあれば有利になるという明確な基準はありません。
生計条件の審査においては、貯金額の多さよりも、毎月の安定した収入の方が重要視されます。
ですから、たとえ貯金がたくさんあったとしても、失業中で無職の状態では、毎月の収入がありませんので、生計条件をクリアすることは難しくなります。
勿論、万が一の備えのために、少しは貯金がある方が望ましいです。
貯金が一切無いというのは、急な出費に全く対応できないことを意味しますので、生計条件の審査上、不利になり得ます。
ローン・借金がある場合
住宅ローンや、自動車ローン、カードローンなどがあったり、事業経営のための融資を受けていたりしても、返済が滞っておらず、生計を保つことができているのであれば、問題にはなりません。
自己破産している場合
自己破産をされている方の場合、免責日から一定期間(少なくとも2~3年以上、自己破産に至った経緯や現在の状況などによっては5年~7年程度)の経過が必要と考えられます。
次回のコラムfa-arrow-circle-rightでは、帰化申請の5つ目の基本条件である「重国籍防止条件」について解説してみたいと思います。
まとめ
fa-hand-o-upMemo
fa-tags生計条件では、日本で安定して暮らしていけるだけの収入があり、生計が成り立っていることが求められます。
fa-tags帰化申請者本人が無収入であっても、配偶者の扶養を受けており、配偶者の収入で生計が成り立っているのであれば、生計条件をクリアすることができます。
fa-tags生計条件をクリアし得る収入は、月収の額が手取りで18万円程度以上あることが目安と考えられます。
fa-tags生計条件の審査では、収入の高さよりも、収入と支出のバランスが取れていることが重視されますので、たとえ高収入でも、支出が多く家計が赤字の状態だと、生計条件をクリアするのが難しくなります。
fa-tags生計条件の審査においては、貯金の額が多いことよりも、毎月安定した収入を得ていることが重視されますが、万が一の備えのために少しでも貯金があることが望ましいと言えるでしょう。
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