クリップボード上のチェックリストと黒ペン

 特定技能外国人(特定技能ビザで就労する外国人)を受入れるにあたっては、特定技能外国人本人が以下の基準を満たす必要があります。

 なお、特定技能外国人本人の基準には、「特定技能1号」および「特定技能2号」に共通する基準と、「特定技能1号」のみの基準と、「特定技能2号」のみの基準とがあります。

「特定技能1号」および「特定技能2号」に共通する基準

 (1) 18歳以上であること

 (2) 健康状態が良好であること

 (3) 退去強制の円滑な執行に協力する外国政府が発行した旅券を所持していること

 (4) 保証金の徴収等をされていないこと

 (5) 外国の機関に費用を支払っている場合は、額・内訳を十分に理解して機関との間で合意していること

 (6) 送出し国で遵守すべき手続が定められている場合は、その手続を経ていること

 (7) 食費、居住費等外国人が定期に負担する費用について、その対価として供与される利益の内容を十分に理解した上で合意しており、かつ、その費用の額が実費相当額その他の適正な額であり、明細書その 他の書面が提示されること

 (8) 分野に特有の基準に適合すること(分野所管省庁の定める告示で規定)

 

共通基準(1)

 (1) 18歳以上であること

 

 共通基準(1)は、特定技能外国人の年齢に関する基準です。

 

 日本の労働法制度では、18歳未満の労働者について特別の保護規定が定められていることを考慮し、特定技能外国人は18歳以上であることが求められています。

 

共通基準(2)

 (2) 健康状態が良好であること

 

 共通基準(2)は、特定技能外国人の健康状態に関する基準です。

 

 特定技能外国人は、特定技能外国人としての活動を安定して継続できなければなりませんので、健康状態が良いことが求められています。

 健康状態は、医師が行う健康診断によって確認されます。

 

共通基準(3)

 (3) 退去強制の円滑な執行に協力する外国政府が発行した旅券を所持していること

 

 共通基準(3)は、退去強制令書の円滑な執行への協力に関する基準です。

 

 いわゆる「強制送還」される外国人(入管法における退去強制令書が発付されて送還されるべき外国人)について、自国民の引取り義務を履行しないなど、退去強制令書の円滑な執行に協力しない国・地域の外国人を特定技能外国人として受入れることは認められていません。

 

共通基準(4)

 (4) 保証金の徴収等をされていないこと

 

 共通基準(4)は、保証金の徴収・違約金契約などに関する基準です。

 

 特定技能外国人本人またはその親族などが、特定技能所属機関(受入れ機関)や登録支援機関、本国および日本の職業紹介事業者、仲介事業者(ブローカー)などから、保証金を取られたり、財産を管理されたり、違約金契約を結ばされたりしないことが求められています。

 

 特定技能外国人の受入れにおいて禁じられる違約金契約の例としては、下のようなものが挙げられます。

  特定技能所属機関(受入れ機関)から失踪することなど、労働契約の不履行に関する違約金を定める契約

  地方出入国在留管理局や労働基準監督署などの関係行政機関において法令違反に関する相談をすること禁じて、その違約金を定める契約

  休日に許可を得ずに外出すること禁じて、その違約金を定める契約

  作業時間中にトイレなどで離席することなどを禁じて、その違約金を定める契約

  商品やサービスの対価として不当に高額な料金の徴収を予定する契約

 

共通基準(5)・ (7)

 (5) 外国の機関に費用を支払っている場合は、額・内訳を十分に理解して機関との間で合意していること

 (7) 食費、居住費等外国人が定期に負担する費用について、その対価として供与される利益の内容を十分に理解した上で合意しており、かつ、その費用の額が実費相当額その他の適正な額であり、明細書その 他の書面が提示されること

 

 共通基準(5)および(7)は、費用負担の合意に関する基準です。

 

 特定技能外国人が入国前および在留中に負担する費用は、特定技能外国人が費用の額と内訳を十分に理解して合意していることが求められています。

 特定技能外国人が不当に高額な費用を支払い、多額の借金を抱えて来日するといったことがないように、外国の機関に費用を支払っている場合は、その額と内訳を十分に理解して当該機関との間で合意していることが求められています。

 

 * 特定技能外国人が定期に負担する費用(食費、住居費、水道・光熱費)

 <食費>

 食費は、提供される食事や食材などの内容に応じて、次のように、合理的な費用でなければなりません。

  食材、宅配弁当などの現物支給の場合: 購入に要した額を超えない額

  社員食堂での食事提供の場合: 従業員一般に提供する場合に特定技能外国人以外の従業員から徴収する額を超えない額

  食事の調理・提供の場合:材料費、水道・光熱費、人件費などの費用を、食事の調理・提供を受ける者(特定技能外国人のみに限られない)の人数で割った額を超えない額

 

 <居住費>

 居住費は、次の通りでなければなりません。

  自己所有物件の場合

   実際に建設・改築などに要した費用、物件の耐用年数、入居する特定技能外国人の人数などを考慮して算出した合理的な額

  ・借上物件の場合

   借上げに要する費用(管理費・共益費を含み、敷金・礼金・保証金・仲介手数料などは含まない)を入居する特定技能外国人の人数で割った額を超えない額

 

 <水道・光熱費>

 水道・光熱費は、実際に要した費用を宿泊施設で特定技能外国人と同居している者(特定技能所属機関やその家族を含む)の人数で割った額を超えない額でなければなりません。

 

共通基準(6)

 (6) 送出し国で遵守すべき手続が定められている場合は、その手続を経ていること

 

 共通基準(6)は、本国において遵守すべき手続に関する基準です。

 

 特定技能外国人が、特定技能外国人として日本で就労するにあたって、本国において必要な手続を行っていること(例えば、本国以外で就労するためには本国において許可を得る必要がある場合には、その許可を得ていること)が求められます。

 

 例えば、フィリピン国籍の方を特定技能外国人として受け入れる場合、受入れ機関は、駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所(POLOPhilippines Overseas Labor Office)または在大阪フィリピン共和国総領事館労働部門へ必要書類を提出し、所定の審査を経て、フィリピンの海外雇用庁(POEAPhilippine Overseas Employment Administration)に登録されなければなりません。

 

共通基準(8)

 (8) 分野に特有の基準に適合すること(分野所管省庁の定める告示で規定)

 

 (1)~(7)の基準に加えて、特定産業分野ごとの特有の事情に鑑みて個別に定める基準に適合していることも求められます。

 

 

「特定技能1号」のみの基準

 (1) 必要な技能及び日本語能力を有していることが、試験その他の評価方法により証明されていること(ただし、技能実習2号を良好に修了している者であり、かつ、技能実習において修得した技能が、従事しようとする業務において要する技能と関連性が認められる場合は、これに該当する必要がない)

 (2) 特定技能1号での在留期間が通算して5年に達していないこと

 

「特定技能1号」のみの基準(1)

 (1) 必要な技能及び日本語能力を有していることが、試験その他の評価方法により証明されていること

 

 「特定技能1号」のみの基準(1)は、1号特定技能外国人に必要とされる技能水準および日本語能力に関する基準です。

 

 1号特定技能外国人は、従事しようとする業務に必要な「相当程度の知識又は経験を必要とする技能」を有していること、および「ある程度の日常会話ができ、業務上必要な日本語能力」を有していることが求められます。

 技能水準および日本語能力は、原則、試験により確認されます(技能実習2号を良好に修了している場合は、試験が免除されます)。

 

 日本語能力に関しては、日本語能力試験の場合、N4以上に合格していること、国際交流基金日本語基礎テストの場合、A2レベル以上に合格していることが必要となります。

 

「特定技能1号」のみの基準(2)

 (2) 特定技能1号での在留期間が通算して5年に達していないこと

 

 「特定技能1号」のみの基準(2)は、通算在留期間に関する基準です。

 

 「特定技能1号」では、通算の在留期間が5年以内であることが求められます。

 

 

「特定技能2号」のみの基準

 (1) 必要な技能を有していることが、試験その他の評価方法により証明されていること

 (2) 技能実習生の場合は、技能の本国への移転に努めるものと認められること

 

「特定技能2号」のみの基準(1)

 (1) 必要な技能を有していることが、試験その他の評価方法により証明されていること

 

 「特定技能2号」のみの基準(1)は、2号特定技能外国人に必要とされる技能水準に関する基準です。

 

 2号特定技能外国人は、従事しようとする業務に必要な「熟練した技能」を有していることが求められます。

 技能水準は、原則、試験により確認されます。

 

「特定技能2号」のみの基準(2)

 (2) 技能実習生の場合は、技能の本国への移転に努めるものと認められること

 

 「特定技能2号」のみの基準(2)は、技能実習により修得した技能の本国への移転に関する基準です。

 

 技能実習生であった外国人が「特定技能2号」の許可を受けようとする場合には、技能実習において修得した技能などを本国へ移転することに努めると認められなければなりません。

 

 

 前のコラム【特定技能外国人を受入れるために満たすべき要件(基準)とは】を読む

 次のコラム【特定技能外国人受入れのため要件(基準)②:特定技能所属機関(受入れ機関)との雇用契約の基準】を読む

 【「特定技能ビザ」徹底解説】の目次へ戻る

 

行政書士オフィスJ(兵庫県西宮市)は、大阪・神戸間で、就労ビザ申請・外国人雇用のサポートを行っております

目標を達成した4人の外国人労働者が笑顔で手を挙げている

 <主な対応エリア:大阪・神戸・阪神エリア(西宮、尼崎、芦屋、伊丹、宝塚など)> *その他のエリアも可能な限り対応させていただきます。

 行政書士オフィスJの就労ビザ申請サポート業務のサービス内容・料金などについては、こちらをご覧ください

 就労ビザに関する面談のご予約・お問い合わせなどは、こちらのメールフォームからどうぞ