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 ここでは、永住ビザの国益要件の中に規定されている条件の一つである「公的義務を適正に履行していること」について解説させていただきます。

「公的義務を適正に履行していること」とは

 ここで言う「公的義務」は、具体的には、納税、年金保険料・健康保険料の納付、および入管法で定められている届出の提出を意味します。

 

 「公的義務を適正に履行していること」と認められるためには、税金や年金保険料・健康保険料を、全て期限内に支払っている必要があります。

 税金や年金保険料・健康保険料に未納がある場合は勿論のこと、期限を過ぎた後に支払っている場合も、「公的義務を適正に履行していること」とは認められません。

 

 会社員の方であれば、通常、税金(住民税など)や社会保険料(厚生年金・健康保険など)が給与から天引きされますので、自動的に期限内に支払っていることになります。

 しかし、個人事業主・フリーランスの方などの場合は、天引きされませんので、税金や社会保険料(国民年金・国民健康保険料など)を期限内に支払うように十分気を付けなければなりません。

 永住ビザの申請をお考えの個人事業主・フリーランスの方などの場合、国民年金保険料・国民健康保険料の支払いに関しては、うっかり忘れてしまうことがないように、銀行口座からの自動引き落としにしておいた方が安心でしょう。

 

住民税の納税・社会保険料の納付を証明する期間

 「公的義務を適正に履行していること」を立証するにあたって、住民税の納税を証明する期間、そして社会保険料の納付を証明する期間は、以下に示すように、現在お持ちのビザ(在留資格)などによって異なります。

 

住民税社会保険料
就労ビザ(技術・人文知識・国際業務ビザ、技能ビザ、経営管理ビザなど)をお持ちの方直近5年分直近2年分
家族滞在ビザ(在留資格「家族滞在」)をお持ちの方直近5年分直近2年分
配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」・在留資格「永住者の配偶者等」)をお持ちの方直近3年分直近2年分
定住ビザ(在留資格「定住者」)をお持ちの方直近5年分直近2年分
高度人材ポイントが70点以上ある方直近3年分直近2年分
高度人材ポイントが80点以上ある方直近1年分直近1年分

(社会保険料は、会社員の場合、厚生年金保険料・健康保険料、個人事業主の場合、国民年金保険料・国民健康保険料)

 

国税の未納が無いことも証明する必要があります

 税金の支払いに関しては、住民税を期限内に収めていることに加えて、国税の未納が無いことも証明しなければなりません。

 

 住民税の納付を証明するための住民税の課税証明書は、お住いの市区町村の役所から発行してもらいますが、国税の納税証明書は、住所地を管轄する税務署から発行してもらいます。

 税務署で国税の納税証明書を発行してもらうときは、以下の税目を全て指定し、全ての税目で未納が無いことを証明する必要があります。

 

 ・源泉所得税及び復興特別所得税

 ・申告所得税及び復興特別所得税

 ・消費税及び地方消費税

 ・相続税

 ・贈与税

 

 この国税の納税証明書は、例えば、会社員の方や、相続税がかかる相続をしていない方、贈与税がかかる贈与を受けていない方などであっても、永住ビザの申請時には提出する必要がありますのでご注意ください。

 

入管法で定められている届出は期限内に提出しましょう

 先に触れましたように、「公的義務」には、入管法で定められている届出の提出も含まれます。

 

 入管法で定められている届出としては、例えば、以下の届出が挙げられます

 

  • 引っ越しをした場合の届出(提出先は、お住まいの市区町村の役所)

  • 転職をした場合の届出(提出先は、最寄りの地方出入国在留管理局・支局・出張所)

  • 配偶者と離婚・死別した場合の届出(提出先は、最寄りの地方出入国在留管理局・支局・出張所)

 

 これらの届出については、期限内(14日以内)に行っていることが望ましいです。

 万が一、期限内の届出の提出を忘れた場合は、できるだけ早く届出を提出しましょう。

 

 次回のコラムでは、国益要件に含まれる条件の一つである「現に有しているビザ(在留資格)について最長の在留期間をもって在留していること」について解説させていただきます。

 

まとめ

 

Memo   

永住ビザの国益要件の中には、「公的義務を適正に履行していること」という条件が規定されており、税金や、年金保険料、健康保険料などを全て期限内に支払っていることが求められます。

就労ビザや家族滞在ビザをお持ちの方が永住ビザを申請する場合、住民税の納税は直近5年分、社会保険料の納付は直近2年分について証明しなければなりません。

配偶者ビザをお持ちの方が永住ビザを申請する場合、住民税の納税は直近3年分、社会保険料の納付は直近2年分について証明しなければなりません。

税金の支払いについては、住民税を期限内に収めていることに加えて、国税の未納が無いことも証明する必要があります。

「公的義務」には、入管法で定められている各種届出の提出も含まれますので、必要な届出は期限内(14日以内)に行うようにしましょう。

 

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