AとBのどちらを選ぶかを検討中

 外国人の方が将来にわたって日本で安定した生活を送りたいと希望する場合、永住ビザを取得すること、あるいは日本に帰化することが選択肢となります。

 そこで、永住ビザと帰化に共通するメリット、そして永住ビザと帰化との違いについて考えてみたいと思います。

永住ビザと帰化に共通するメリット

 まず、永住ビザと帰化に共通するメリットについて考えてみましょう。

 永住ビザと帰化に共通する主なメリットとしては、例えば、以下のような点が挙げられます。

 

 ビザの更新が不要になる

 就労活動に制限が無くなる

 配偶者と離婚または死別した場合でも、日本での暮らしを続けることができる

 

ビザの更新が不要になる

 永住ビザには在留期限がありませんので、一旦永住ビザが許可されれば、更新をする必要がありません。

 帰化が許可された場合は、日本人になるわけですから、日本で暮していく上でビザは不要となります。

 

 ですから、永住ビザの場合も帰化の場合も、許可を受けることができれば、その後は、ビザの更新が不許可になって日本に住めなくなってしまうといった心配が一切無くなります。

 

就労活動に制限が無くなる

 例えば、就労ビザで日本に住んでいる方の場合、日本で行うことができる就労活動(仕事の内容)には厳格な制限があり、現在お持ちの就労ビザで認められている範囲内の仕事しかできません。

 しかし、永住ビザを取得した方や帰化が許可された方には、そのような就労活動の制限がありませんので、法律に反しない限り、どのような仕事でもできます。

 

 また、通常、外国人の方が日本で会社を設立して起業する場合は、会社の資本金として500万円以上用意するなど、様々な要件を満たした上で、経営管理ビザ(在留資格「経営・管理」)を取る必要があります。

 しかし、永住ビザを取得した方や帰化が許可された方であれば、経営管理ビザ(在留資格「経営・管理」)を取らなくても日本で会社を設立して起業することが可能ですので、会社の資本金として500万円以上用意する必要などがありません。

 

配偶者と離婚または死別した場合でも、日本での暮らしを続けることができる

 例えば、いわゆる配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」・「永住者の配偶者等」)で日本に住んでいる方の場合、配偶者と離婚または死別したときには、別のビザへの変更が必要となり、万が一ビザの変更が不許可になってしまうと、日本で暮らし続けることができなくなります。

 しかし、永住ビザを取得した方や帰化が許可された方であれば、配偶者と離婚または死別した場合でも、ビザを変更する必要が無く、日本での暮らしを継続することができます。

 

永住ビザと帰化との違い

 それでは、永住ビザと帰化との違いは、どのような点でしょうか。

 永住ビザと帰化との主な違いとしては、例えば、以下のような点が挙げられます。

 

 国籍に関する違い

 許可の要件(居住要件、日本語能力など)の違い

 認められる権利の違い

 申請先の違い

 

国籍に関する違い

 永住と帰化との大きな違いは、国籍に関する違いです。

 永住ビザの場合、現在お持ちの国籍を変更することなく、外国人として日本で長期的に暮らすことが可能になります。

 それに対し、帰化の場合は、現在お持ちの国籍を離脱して日本国籍を取得しますので、日本人として生きていくことになります。

 

 つまり、永住ビザを取得しても国籍が変わることはありませんが、帰化するということは、現在の国籍を失うことを意味しますので、帰化を申請する場合の方がより慎重な判断が必要になると言えるでしょう。

 

許可の要件(居住要件、日本語能力など)の違い

 永住ビザの場合も帰化の場合も、一定期間引き続き日本に住んでいることが重要な要件として定められています。

 永住ビザの場合は、原則、引き続き10年以上日本に住んでいることが求められる一方で、帰化の場合は、原則、引き続き5年以上日本に住んでいることが求められます(ただし、永住ビザの場合も帰化の場合も、例外規定があります)。

 

 また、留学生として来日された方は、永住ビザ申請の場合、5年以上の就労歴が必要となるのに対し、帰化申請の場合に必要となる就労歴は3年以上です。

 

 永住ビザと帰化とで要件が異なる点としては、日本語能力も挙げられます。

 申請人の日本語能力については、帰化申請の場合は要件になりますが(小学生3年生以上のレベルの日本語能力が求められます)、永住ビザ申請の場合は要件としては定められていません。

 しかし、永住ビザを申請する場合でも、日本語能力が高い方が当然有利と言えます。

 

認められる権利の違い

 永住ビザを取得した方の場合、国籍上はあくまで外国人のままですので、選挙権や被選挙権、公務員になる権利など、日本人として当然認められる権利は保障されていません(なお、地方自治体の判断により、外国人が地方公務員になれる可能性はあります)。

 

 一方、帰化した方の場合は、日本人ですので、選挙権や被選挙権、公務員になる権利など、日本人として当然認められる権利が保障されます。

 

申請先の違い

 永住ビザの申請先は、就労ビザや配偶者ビザなどの申請先と同じく、出入国在留管理局ですが、帰化の申請先は法務局です。

 出入国在留管理局と法務局は、どちらも法務省の管轄下にありますが、異なる組織になります。

 

 

 さて、次回のコラムでは、 永住ビザの申請に必要となる身元保証人について解説させていただきます。

 

まとめ

 

Memo   

永住ビザと帰化に共通する主なメリットとしては、 ビザの更新が不要になる、 就労活動に制限が無くなる、 配偶者と離婚または死別した場合でも、日本での暮らしを続けることができる、といった点が挙げられます。

永住ビザと帰化との主な違いとしては、 国籍に関する違い、 許可の要件(居住要件、日本語能力など)の違い、 認められる権利の違い、 申請先の違い、などが挙げられます。

 

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