メガネをかけたスーツ姿の女性が指をさしている

 ここでは、簡易帰化(日本と特別な関係がある方に対する基本条件の緩和・免除規定)について解説させていただきます。

「簡易帰化」とは

 日本と特別な関係がある外国人の方は、簡易帰化の対象になる可能性があります。

 

 簡易帰化の対象になり得る外国人の方の典型例は、特別永住者の方や、日本人と結婚している外国人の方です。

 その他にも、元日本人の子である外国人、日本で生まれた外国人、日本人の子である外国人、日本人の養子である外国人、元日本人である外国人、日本で生まれた無国籍の方などが簡易帰化の対象になり得ます。

 

 簡易帰化の規定に該当する方は、帰化の基本条件が一部緩和または免除されます。

 

 帰化の基本条件は、主に国籍法の第5条に定められていますが、簡易帰化の規定は、国籍法の第6条~第8条に定められています。

 

簡易帰化のポイント

 以下に説明しますように、簡易帰化の規定は9つあり、簡易帰化の対象となる方の状況に応じて、適用される簡易帰化の規定は異なります。

 

 日本と特別な関係を有する外国人(例えば、元日本人の子である外国人、日本で生まれた外国人、特別永住者など)で、現在日本に住んでいる方

  

 簡易帰化の規定①、②および③(国籍法第6条による住所条件の緩和規定)

 

 本人と結婚している外国人

  

 簡易帰化の規定④および⑤(国籍法第7条による住所条件および能力条件の緩和規定)

 

 日本人の子である外国人の方、日本人の養子である外国人の方、元日本人である外国人の方、日本で生まれた無国籍の方など

  

 簡易帰化の規定⑥、⑦、⑧および⑨(国籍法第8条による住所条件、能力条件および生計条件の免除規定)

 

簡易帰化の規定①、②および③(国籍法第6条による住所条件の緩和規定)

 簡易帰化の規定およびは、国籍法の第6条に定められています。

 

 簡易帰化の規定およびは、日本と特別な関係を有する外国人で、現在日本に住んでいる方に対して住所条件を緩和する規定です。

 

 次の簡易帰化の規定およびのいずれかに該当する方は、引き続き5年以上日本に住んでいなくても、住所条件をクリアすることができます。

 

簡易帰化の規定①、②および③
① 日本国民であった者の子(養子を除く)で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有するもの
② 日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所若しくは居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く)が日本で生まれたもの
③ 引き続き10年以上日本に居所を有する者

 

 の規定に該当するのは、例えば、日本人の親子が外国に移住し、一緒に外国籍を取ったが、その後、子だけが日本に帰国した場合などです。

 この場合、日本に帰国後、引き続き3年以上日本に住めば、住所条件をクリアできます。

 

 の規定に該当するのは、典型的には、日本で生まれた特別永住者の方(在日コリアンの方や在日台湾人の方など)です。

 

 の規定には、多くの特別永住者の方や、10年以上の長期にわたり日本で生活している外国人の方が該当します。

 

簡易帰化の規定④および⑤(国籍法第7条による住所条件および能力条件の緩和規定)

 簡易帰化の規定およびは、国籍法の第7条に定められています。

 

 簡易帰化の規定およびは、日本人と結婚している外国人の方に対して、住所条件および能力条件を緩和する規定です。

 

 次の簡易帰化の規定またはに該当する方は、引き続き5年以上日本に住んでいなくても住所条件をクリアできますし、未成年であっても能力条件をクリアすることができます。

 

簡易帰化の規定④および⑤
④ 日本国民の配偶者たる外国人で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するもの
⑤ 日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から3年を経過し、かつ、引き続き1年以上日本に住所を有するもの

 

 例えば、就労ビザなどで現在まで3年以上日本に住み続けている外国人の方であれば、日本人と結婚した時点で、の規定に該当し、住所条件をクリアすることができます。

 

 また、現在、留学生の方であっても、3年以上日本に住み続けているのであれば、日本人と結婚した時点で、の規定に当てはまり、住所条件をクリアすることができます。

 この場合、留学生として来日した方に対する住所条件の追加要件(3年以上の就労歴)は問われません。

 

 の規定は、日本人と結婚した外国人で、海外で結婚生活を送っている方などが対象になります。

 例えば、日本人と結婚した外国人で、海外で結婚生活を2年以上送っている方の場合は、日本に住所を移した後、引き続き1年以上日本に住めば、の規定に当てはまりますので、住所条件をクリアすることができます。

 

 なお、例外として、日本人と結婚している方であっても、過去にオーバーステイなどにより在留特別許可を取っている場合には、在留特別許可を取った日から10年程度の経過が必要と考えられています。

 

簡易帰化の規定⑥、⑦、⑧および⑨(国籍法第8条による住所条件、能力条件および生計条件の免除規定)

 簡易帰化の規定およびは、国籍法の第8条に定められています。

 

 簡易帰化の規定およびは、日本人の子である外国人の方、日本人の養子である外国人の方、元日本人である外国人の方、日本で生まれた無国籍の方などに対して、住所条件、能力条件および生計条件を免除する規定です。

 

 次の簡易帰化の規定およびのいずれかに該当する方は、住所条件、能力条件および生計条件が免除されますので、簡易帰化の規定に該当する場合よりもさらに帰化の条件面でのハードルが下がることになります。

 

簡易帰化の規定⑥、⑦、⑧および⑨
⑥ 日本国民の子(養子を除く)で日本に住所を有するもの
⑦ 日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により未成年であったもの
⑧ 日本の国籍を失った者(日本に帰化した後日本の国籍を失った者を除く)で日本に住所を有するもの
⑨ 日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き3年以上日本に住所を有するもの

 

 の規定は、例えば、日本人の方が外国人と結婚し、結婚相手の国籍を取得したが、離婚や死別などにより、日本に戻って再び日本国籍を取りたいという場合などが当てはまります。

 

 の規定は、外国人親子の親だけが先に帰化して日本人になっており、その後、外国籍のままであった子が帰化したいという場合なども該当します。

 

 の規定は、未成年の連れ子がいる外国籍の親が日本人と再婚し、再婚相手の日本人が連れ子を養子縁組した場合などが該当します。

 この場合、引き続き1年以上日本に住んでいる必要がある点と、養子縁組の時点で本国の法律では未成年でなければならない点が注意点となります。

  

まとめ

 

Memo   

日本人と結婚している外国人の方や特別永住者の方など、日本と特別な関係を持つ外国人の方は、簡易帰化の対象になる可能性があります。

元日本人の子である外国人、日本で生まれた外国人、日本人の子である外国人、日本人の養子である外国人、元日本人である外国人、日本で生まれた無国籍の方なども、簡易帰化の対象になり得ます。

簡易帰化の規定に該当する方は、帰化の基本条件が一部緩和または免除されます。

簡易帰化の規定は、国籍法第6条~第8条に9つ定められており、簡易帰化の対象となる方の状況によって、適用される簡易帰化の規定は異なります。

簡易帰化の対象になる可能性がある方は、簡易帰化の規定をよく確かめて、どの規定に該当するのかを確認しておきましょう。

 

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