ここでは、帰化申請の7つ目の基本条件である「日本語能力条件」について解説させていただきます。
目次
「日本語能力条件」とは
「日本語能力条件」とは、以下のような条件です。
日本語能力条件は、①~⑥までの基本条件とは異なり、国籍法には規定されていない条件です。
つまり、日本語能力条件は、法律上、明文化された条件ではありません。
日本語能力条件で求められるレベルとは
日本語能力条件に関しては、日常生活に困らないレベルの日本語の会話・読み書きができれば問題ありません。
長年日本にお住いの特別永住者の方でしたら、日本語能力条件については、まず心配ないと考えてよいでしょう。
日本語能力条件で求められるレベルは、小学校3年生レベルと考えられています。
日本語能力試験で言うと、N3レベルの会話・読み書きができることが目安になります。
ちなみに、日本語能力試験のサイトでは、N3の認定の目安は、以下のように定められています。
N3 | 日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる。 | |
読む能力 | ・ 日常的な話題について書かれた具体的な内容を表す文章を、読んで理解することができる。 ・ 新聞の見出しなどから情報の概要をつかむことができる。 ・ 日常的な場面で目にする難易度がやや高い文章は、言い換え表現が与えられれば、要旨を理解することができる。 | |
聞く能力 | ・ 日常的な場面で、やや自然に近いスピードのまとまりのある会話を聞いて、話の具体的な内容を登場人物の関係などとあわせてほぼ理解できる。 |
日本語能力が確認される場面
帰化申請者の日本語能力が確認される場面としては、次のようなものが考えられます。
・法務局での事前相談fa-arrow-circle-right
・帰化申請書類を提出する際の書類点検fa-arrow-circle-right
・宣誓書の読み上げfa-arrow-circle-right
・動機書に書かれた文章fa-arrow-circle-right
・帰化申請受理後の担当官との面接fa-arrow-circle-right
法務局での事前相談
通常、帰化申請に先立ち、管轄の法務局へ事前相談に出向くことになります(行政書士などに依頼した場合は、行政書士が本人に代わって法務局へ事前相談に行くことができます)。
事前相談では申請者の状況や、仕事、家族関係、生計、事業(事業経営者の場合)などについて聞き取りが行われます。
この事前相談での担当者とのやり取りの中で、日本語の会話力も確認されると考えてよいでしょう。
帰化申請書類を提出する際の書類点検
法務局に申請書類を提出する際には、書類の点検が行われます。
この書類点検での会話の中でも、申請者の日本語の会話力が確認されることになります。
なお、行政書士などに依頼した場合でも、法務局への申請書類の提出は、必ず申請者本人が行う必要があります。
宣誓書の読み上げ
帰化申請者は、法務局での帰化申請時に担当官の前で、声を出して宣誓書を読み、宣誓書に自筆で署名しなければなりません。
宣誓書の内容は、以下のようなものです。
『私は、日本国憲法及び法令を守り、定められた義務を履行し、善良な国民となることを誓います。』
この宣誓書を読み上げることができるかどうかで、日本語を読む能力が確認されることになります。
なお、15歳未満の方については、宣誓書は不要です。
動機書に書かれた文章
帰化申請書類の中には、「動機書」という書類があります。
動機書には、帰化を申請する動機を、A4サイズの用紙1枚に自筆で書きます。
パソコンではなく自筆で書かなければなりませんので、動機書によって、実際に日本語の文章を書く能力が確認されることになります。
なお、特別永住者の方および15歳未満の方は、動機書の提出が免除されています。
帰化申請受理後の担当官との面接
帰化申請が受理されると、2ヵ月~3ヵ月後に(申請者によっては数週間後の場合もあります)法務局で担当官との面接が行われます。
面接では、申請書類の内容や生活状況などに関して、1時間程度、担当官から様々な質問を受けることになります。
この質問の受け答えから、申請者の日本語能力が確認されます。
日本語テスト
帰化申請者の日本語能力を判断するために、日本語テストが行われる場合があります。
なお、日本語テストは、必ずしも全ての帰化申請者に課せられるわけではありません。
在日コリアンなどの特別永住者の方に対しては、日本語テストが行われないことが多いようです。
ただし、たとえ特別永住者の方であっても、法務局での担当官との面接などで、日本語による意思疎通に問題があると判断されると、日本語テストが行われます。
日本語テストは、小学校3年生レベルの日本語能力があることを確認するためのテストで、筆記形式で行われます。
筆記形式のテストであることから、日本語の読み書きに自信が無い方にとっては、ハードルが高く感じるかもしれません。
他の条件を満たしているにも関わらず、日本語能力条件をクリアできずに、帰化申請が不許可になってしまうようなことを避けるためにも、日本語能力に少しでも不安をお持ちの方は、前もって日本語の会話・読み書きの学習をしておくことをお勧めします。
さて、次回のコラムfa-arrow-circle-rightでは、簡易帰化(日本と特別な関係がある方に対する基本条件の緩和・免除規定)について解説してみたいと思います。
まとめ
fa-hand-o-upMemo
fa-tags日本語能力条件は、①~⑥までの基本条件とは異なり、国籍法で定められた条件ではありません。
fa-tags日本語能力条件で求められるレベルは、小学校3年生レベルと考えられており、日本語能力試験N3レベルの会話・読み書きができることが目安になります。
fa-tags帰化申請者の日本語能力がチェックされる場面としては、法務局での事前相談、帰化申請書類を提出する際の書類点検、宣誓書の読み上げ、動機書に書かれた文章、帰化申請受理後の担当官との面接などが挙げられます。
fa-tags日本語能力を判断するための日本語テストは、必ずしも全ての帰化申請者に課せられるわけではなく、特別永住者の方に対しては、日本語テストが行われないことが多いです。
fa-tags特別永住者の方であっても、法務局の担当官との面接などで、日本語による意思疎通に難があると判断されると、日本語テストが行われます。
fa-tags日本語能力に少しでも不安がある方は、前もって日本語の会話・読み書きの勉強をしておいたほうがよいでしょう。
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