人差し指を立てているスーツ姿の女性

 ここでは、帰化申請をお考えになっている韓国籍男性の特別永住者の方が兵役義務に関して注意すべき点について解説させていただきます。

韓国籍男性の特別永住者の方は、「在外国民2世」であれば兵役が免除されます

 韓国には徴兵制度があるため、韓国人の成人男性は、18歳から兵役義務の対象となります。

 

 しかし、日本に住む韓国籍男性の特別永住者の方は、「在外国民2世」と認められる場合、韓国での兵役義務が免除されます。

 

「在外国民2世」とは

 「在外国民2世」とは、以下の条件を全て満たし、在外国民2世であることを証明された韓国籍の方のことを言います。

 

「在外国民2世」の条件
次の条件を全て満たしている必要があります。

① 外国(韓国以外の国)で出生している、または6歳以前に韓国から外国へ出国している

② 17歳まで本人と父母が引き続き外国(韓国以外の国)に住んでいる

③ 外国政府から国籍・市民権を取得している、あるいは永住権が無い国で無期限または5年以上の滞在資格を取得している

 

 通常、日本で生まれて18歳以上になっている韓国籍の特別永住者の方であれば、の条件を全て満たし「在外国民2世」に該当する方がほとんどだと思われます。

 

「17歳まで本人と父母が引き続き外国に住んでいる」(②の条件)の注意点

 7歳から17歳までの期間に、1年のうち通算で90日を超えて韓国国内に滞在したことがある場合は、引き続き外国に住んでいたとは判断されず、「在外国民2世」とは認められません。

 

 ただし、17歳以前に、初・中等教育法第2条の規定による韓国国内の学校で学んでいた場合は、その期間が通算で3年以内であれば、引き続き外国に住んでいたと認められます。

 

 帰化申請をお考えになっている韓国籍男性の特別永住者の方は、まずは、ご自分が「在外国民2世」であるか否かを念のため確認することをお勧めいたします。

 

「在外国民2世」の捺印(スタンプ)

 兵役義務の対象年齢(18歳~37歳)にある「在外国民2世」の方が韓国を訪問するに際しては、必ず事前に韓国大使館・領事館で手続きを行い、パスポートに「在外国民2世」の捺印(スタンプ)を受けておきましょう。

 

 パスポートに「在外国民2世」のスタンプが無いと、「在外国民2世」として証明されないため、兵役義務者として韓国からの出国が禁じられてしまう恐れがあります。

 

 

「在外国民2世」の地位が失われるケース

 「在外国民2世」と認められた方であっても、場合によっては「在外国民2世」の地位が失われてしまうことがあります。

 

 1993年12月31日以前にお生まれの「在外国民2世」

 1994年1月1日以後にお生まれの「在外国民2世」

 

1993年12月31日以前にお生まれの「在外国民2世」

 19931231日以前にお生まれの方は、次のいずれかに該当する場合、「在外国民2世」の地位が失われてしまいます。

 

1993年12月31日以前の出生者が「在外国民2世」の地位を失うケース
① 本人が海外移住法による永住帰国を申告したとき
② 2018年5月29日以降に、父または母が永住帰国を申告したとき
③ 2018年5月29日以降に、本人が通算で3年を超えて韓国に滞在したとき(韓国への入国日は算入し、韓国からの出国日は算入せずに計算した滞在日数が1,095日を超える場合)

 

 に該当する場合は、「在外国民2世」の地位が失われるとともに、兵役義務が生じます。

 に該当する場合は、「在外国民2世」の地位が失われ、「一般国外移住者」という扱いになります。

 に該当する場合も、「在外国民2世」の地位が失われ、「一般国外移住者」という扱いになります。

 

1994年1月1日以後にお生まれの「在外国民2世」

 199411日以後にお生まれの方は、次のいずれかに該当する場合、「在外国民2世」の地位が失われてしまいます。

 

1994年1月1日以後の出生者が「在外国民2世」の地位を失うケース
① 本人が海外移住法による永住帰国を申告したとき
② 父または母が永住帰国を申告したとき
③ 本人が18歳以降に、通算で3年を超えて韓国に滞在したとき(韓国への入国日は算入し、韓国からの出国日は算入せずに計算した滞在日数が1,095日を超える場合)

 

 に該当する場合は、「在外国民2世」の地位を失うとともに、兵役義務が生じます。

 に該当する場合は、「在外国民2世」の地位を失い、「一般国外移住者」という扱いになります。

 に該当する場合も、「在外国民2世」の地位を失い、「一般国外移住者」という扱いになります。

 

 兵役義務の対象年齢にある「在外国民2世」の方は、韓国へ行く機会が無い場合や観光旅行などで短期的に韓国に滞在するだけの場合などであれば問題ありません。

 しかし、韓国を訪れる機会が多い場合や、留学・赴任などで韓国での滞在が長期になる可能性がある場合には、「在外国民2世」としての地位を失わないために、韓国での滞在日数が通算で3年を超えないように注意する必要があります。

 

「一般国外移住者」になった方に兵役義務が生じるケース

 「在外国民2世」の地位を失い「一般国外移住者」になった場合でも、37歳まで兵役が延期され、38歳になる年の11日から兵役義務が免除されます。

 

 しかし、「一般国外移住者」は、37歳以前に次のいずれかに該当する場合、兵役の延期が取り消されてしまい、兵役義務が生じますのでお気をつけください。

 

「一般国外移住者」に兵役義務が生じるケース
① 海外移住法による永住帰国を申告したとき
② 韓国国内で、1年間のうち通算で 6ヶ月以上滞在したとき
③ 韓国国内で就職などの営利活動を行ったとき

 

 「在外国民2世」の地位を失い「一般国外移住者」になった方が兵役対象年齢のときに韓国に入国する際は、滞在日数が年間で通算6ヵ月以上にならないように、そして韓国国内で収入を得る活動を行わないように十分注意する必要があります。

 

 

 さて、次回のコラムでは、実際に帰化を申請する場合の流れについて解説してみたいと思います。

 

まとめ

 

Memo   

韓国の成人男性は、18歳から兵役義務者となりますが、日本に住む韓国籍男性の特別永住者の場合は、「在外国民2世」と認められれば、兵役義務が免除されます。

帰化申請をお考えになっている韓国籍男性の特別永住者の方は、念のため、ご自分が「在外国民2世」に該当するか否かを確認しておいたほうがよいでしょう。

兵役対象年齢にある韓国籍男性の特別永住者で、韓国へ行く機会が多い方や、留学・赴任などで韓国に長期滞在する可能性がある方などは、「在外国民2世」の地位を失わないために、韓国での滞在日数が通算で3年を超えないようご注意ください。

「在外国民2世」の地位を失って「一般国外移住者」になった方は、韓国での滞在期間が年間で通算 6ヶ月以上になった場合や、韓国で収入を得る活動を行った場合には兵役義務が生じますので、兵役対象年齢のときに韓国を訪れる際には注意が必要です。

 

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まとめ

韓国の成人男性は、18歳から兵役義務者となりますが、日本に住む韓国籍の特別永住者の場合は、「在外国民2世」と認められれば、兵役義務が免除されます。

帰化申請をお考えの韓国籍男性の特別永住者の方は、ご自分が「在外国民2世」に該当するか否かを念のため確認しておいた方がよいでしょう。

韓国へ行く機会が多い方や、留学・赴任などで韓国に長期滞在する可能性がある方などは、「在外国民2世」の地位を失わないために、韓国での滞在日数が通算で3年を超えないようご注意ください。

「在外国民2世」の地位を失って「一般国外移住者」になった方は、韓国での滞在期間が年間で通算 6ヶ月以上になった場合や、韓国で就職などの営利活動を行った場合に兵役義務が生じますので、兵役対象年齢のときに韓国を訪れる際には注意が必要です。