ファイルを抱えて歩くスーツ姿の若い女性

 ここでは、家族滞在ビザで在留する日本の高校卒業者が日本での就職を希望する場合に、家族滞在ビザ(在留資格「家族滞在」)から定住ビザ(在留資格「定住者」)または特定活動ビザ(在留資格「特定活動」)へ変更するケースについて解説させていただきます。

日本の高校卒業者は、家族滞在ビザから定住ビザ・特定活動ビザへ変更できる可能性があります

 扶養者の扶養を受ける子として家族滞在ビザで来日し、日本の高校を卒業する外国人の方の中には、日本で就職することを希望される方が多くいらっしゃいます。

 

 しかし、扶養者の扶養を受ける子として家族滞在ビザで入国した方の場合、高校卒業時点では、技術・人文知識・国際業務ビザなどの就労ビザで求められる学歴要件や実務要件を満たすことができないため、就労ビザへの変更が叶わないというのが現状です。

 

 そこで、家族滞在ビザで在留する方の日本での就職機会を広げるために、一定の要件をクリアすれば、家族滞在ビザから定住ビザまたは特定活動ビザへの変更を認める取り扱いが行われています。

 家族滞在ビザから定住ビザまたは特定活動ビザへの変更が認められると、日本での就職・就労が可能になり、フルタイムで働くことができます。

 

定住ビザへの変更の対象となる場合と、特定活動ビザへの変更の対象となる場合との違い

 定住ビザへの変更の対象となるか、あるいは特定活動ビザへの変更の対象となるかは、家族滞在ビザで在留し、日本の高校を卒業する外国人の方が、日本で義務教育を修了しているか否か(日本の小学校および中学校を卒業しているか否か)で決まります。

 

 定住ビザへの変更の対象となるケース(日本の義務教育を修了)

 

 特定活動ビザへの変更の対象となるケース①(17歳以下のときに来日して日本の中学校に入学・編入)

 特定活動ビザへの変更の対象となるケース②(17歳以下のときに来日して日本の高校に入学)

 特定活動ビザへの変更の対象となるケース③(17歳以下のときに来日して日本の高校に編入)

  

定住ビザへの変更の対象となるケース(日本の義務教育を修了)

 • 未就学または小学生のときに入国して(あるいは日本で出生して)家族滞在ビザで在留

   

  日本の小学校に入学(または編入)して卒業

   

  日本の中学校に入学して卒業

   

  日本の高校に入学して卒業

   

  日本での就職先が決定(就職先から内定が出ている)

 

 このように、未就学または小学生のときに入国して(あるいは日本で出生して)家族滞在ビザで在留し、日本の義務教育を修了後、日本の高校を卒業する外国人の方は、日本の就職先から内定が出ていれば、定住ビザ(在留資格「定住者」)への変更の対象となります。

 

特定活動ビザへの変更の対象となるケース①(17歳以下のときに来日して日本の中学校に入学・編入)

  • 17歳以下(18歳未満)のときに入国して家族滞在ビザで在留

   

  日本の中学校に入学(または編入)して卒業

   

  日本の高校に入学して卒業

   

  日本での就職先が決定(就職先から内定が出ている)

 

特定活動ビザへの変更の対象となるケース②(17歳以下のときに来日して日本の高校に入学)

 • 17歳以下(18歳未満)のときに入国して家族滞在ビザで在留

   

  日本の高校に入学して卒業

   

  日本での就職先が決定(就職先から内定が出ている)

 

特定活動ビザへの変更の対象となるケース③(17歳以下のときに来日して日本の高校に編入)

 • 17歳以下(18歳未満)のときに入国して家族滞在ビザで在留

   

  日本の高校に編入して卒業

  日本の高校に編入している方は、一定レベルの日本語能力(日本語能力試験N2など)があることが求められます。

   

  日本での就職先が決定(就職先から内定が出ている)

 

 このように、17歳以下のときに入国して家族滞在ビザで在留し、日本で義務教育を修了していない(日本の小学校および中学校を卒業していない)が、日本の高校を卒業する外国人の方は、日本の就職先から内定が出ていれば、特定活動ビザ(在留資格「特定活動」)への変更の対象となります。

 なお、日本の高校に編入している(日本の高校に途中から入学している)方の場合は、日本語能力試験N2に合格しているなど、一定レベルの日本語能力を有することが求められます。

 

家族滞在ビザから特定活動ビザへの変更を申請する場合の注意点

 日本の高校卒業者が家族滞在ビザから特定活動ビザへ変更する場合には、以下のような注意点があります。

 

身元保証人

 家族滞在ビザから定住ビザへの変更を申請する場合も、家族滞在ビザから特定活動ビザへの変更を申請する場合も、身元保証人が必要となります。

 

 しかし、家族滞在ビザから特定活動ビザへの変更を申請する場合の身元保証人は、日本に住む扶養者でなければなりません。

 家族滞在ビザで在留する子の扶養者は親ですので、子が家族滞在ビザから特定活動ビザへの変更を申請する場合、日本に住んでいる親が身元保証人になり、申請時に提出する身元保証書を書くことになります。

 

高校に編入している場合

 家族滞在ビザで来日して日本の高校に編入している(日本の高校に途中から入学している)場合は、一定レベルの日本語能力があることが要件になります。

 

 具体的には、日本語能力試験N2に合格していること、あるいはBJTビジネス日本語能力テストのJLRT聴読解テスト(筆記テスト)で400点以上取得していることが求められます。

 

家族滞在ビザから定住ビザへの変更が許可されるための要件(条件)

 家族滞在ビザから定住ビザへ変更する場合に求められる要件(条件)は、以下の通りです。

 

 ① 日本の義務教育を修了していること

 ② 日本の高校(高等学校)を卒業していること、または卒業見込みであること

 ③ 入国後、引き続き家族滞在ビザで日本に在留していること

 ④ 入国時に18歳未満であること

 ⑤ 就職先が決定または内定していること

 ⑥ 公的義務を果たしていること(住居地の届出など)

 

① 日本の義務教育を修了していること

 「義務教育」とは、小学校および中学校を卒業していることを意味します。

 「小学校」には、義務教育学校の前期課程および特別支援学校の小学部も含まれます。

 「中学校」には、夜間中学、義務教育学校の後期課程、中等教育学校の前期課程、および特別支援学校の中学部も含まれます。

 

② 日本の高校(高等学校)を卒業していること、または卒業見込みであること

 「高校(高等学校)」には、定時制高校、通信制高校、中等教育学校の後期課程、特別支援学校の高等部、および高等専門学校も含まれます。

 

③ 入国後、引き続き家族滞在ビザで日本に在留していること

 家族滞在ビザ以外のビザ(例えば、留学ビザ)で在留していても、扶養者の監護・養育および扶養を受けているなど、事実上、家族滞在ビザで在留している場合と同等(「家族滞在」の在留資格該当性がある)と判断されれば、「引き続き家族滞在ビザで日本に在留している」と認められます。

 

④ 入国時に18歳未満であること

 日本に入国したときの年齢は、17歳以下でなければなりません。

 

 ただし、家族滞在ビザから定住ビザへの変更は、日本の義務教育を修了していることが要件になりますので、少なくとも小学生のときに入国している必要があります。

 

⑤ 就職先が決定または内定していること

 就職先での勤務時間は、資格外活動許可の制限時間(1週につき28時間)を超える勤務時間でなければなりません。

 つまり、アルバイト・パートでの勤務ではなく、フルタイムでの勤務が想定されます。

 

⑥ 公的義務を果たしていること

 住居地の届出や住居地変更の届出などの届出義務を果たしていることが求められます。

 

 家族滞在ビザから定住ビザへの変更を申請する際の必要書類については、こちらをご参考ください

 

家族滞在ビザから特定活動ビザへの変更が許可されるための要件(条件)

 家族滞在ビザから特定活動ビザへ変更する場合に求められる要件(条件)は、以下の通りです。

 

 ① 日本の高校(高等学校)を卒業していること、または卒業見込みであること

 ② 扶養者が身元保証人として在留していること

 ③ 入国後、引き続き家族滞在ビザで日本に在留していること

 ④ 入国時に18歳未満であること

 ⑤ 就職先が決定または内定していること

 ⑥ 公的義務を果たしていること(住居地の届出など)

 

① 日本の高校(高等学校)を卒業していること、または卒業見込みであること

 「高校(高等学校)」には、定時制高校、通信制高校、中等教育学校の後期課程、特別支援学校の高等部、および高等専門学校も含まれます。

 

 高校に編入している(途中から高校に入学している)場合は、高校を卒業していることに加えて、日本語能力試験N2に合格していること、またはBJTビジネス日本語能力テストのJLRT聴読解テスト(筆記テスト)で400点以上取っていることが求められます。

 

② 扶養者が身元保証人として在留していること

 日本に在留している扶養者が身元保証人になり、身元保証書を書く必要があります。

 

③ 入国後、引き続き家族滞在ビザで日本に在留していること

 家族滞在ビザ以外のビザ(例えば、留学ビザ)で在留していても、扶養者の監護・養育および扶養を受けているなど、事実上、家族滞在ビザで在留している場合と同等(「家族滞在」の在留資格該当性がある)と判断されれば、「引き続き家族滞在ビザで日本に在留している」と認められます。

 

④ 入国時に18歳未満であること

 日本に入国したときの年齢は、17歳以下でなければなりません。

 

⑤ 就職先が決定または内定していること

 就職先での勤務時間は、資格外活動許可の制限時間(1週につき28時間)を超える勤務時間でなければなりません。

 つまり、アルバイト・パートでの勤務ではなく、フルタイムでの勤務が想定されます。

 

⑥ 公的義務を果たしていること

 住居地の届出や住居地変更の届出などの届出義務を果たしていることが求められます。

 

 家族滞在ビザから特定活動ビザへの変更を申請する際の必要書類については、こちらをご参考ください

 

まとめ

 

Memo   

家族滞在ビザで在留する日本の高校卒業者が日本での就職を希望する場合には、一定の要件をクリアすれば、定住ビザまたは特定活動ビザへの変更が認められる可能性があります。

家族滞在ビザで在留する日本の高校卒業者は、日本の義務教育を修了している(日本の小学校および中学校を卒業している)場合、定住ビザへの変更の対象となり、日本の義務教育を修了していない(日本の小学校および中学校を卒業していない)場合、特定活動ビザへの変更の対象となります。

家族滞在ビザから特定活動ビザへ変更する場合は、日本に住む扶養者が書いた身元保証書を提出しなければなりません。

家族滞在ビザから特定活動ビザへ変更する場合、日本の高校に編入している(日本の高校に途中から入学している)方は、一定レベルの日本語能力(日本語能力試験N2など)があることが求められます。

 

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