青空にはためく韓国の国旗

 ここでは、韓国人・朝鮮籍の方が帰化を申請する際に、身分関係を証明する書類として提出する本国書類について解説させていただきます。

韓国人・朝鮮籍の方が提出する本国書類とは

 韓国人・朝鮮籍の方の場合、身分関係を証明する書類として提出する本国書類は、韓国の家族関係登録簿に基づく登録事項別証明書と除籍謄本です。

 なお「朝鮮籍」とは、韓国籍ではない朝鮮半島出身者とその子孫を意味するものであり、国籍が北朝鮮であることを意味するものではありません。

 

 家族関係登録簿に基づく登録事項別証明書は、基本証明書、家族関係証明書、婚姻関係証明書、入養関係証明書、および親養子入養関係証明書の5種類があります。

 

 韓国人・朝鮮籍の帰化申請者は、基本的に、以下のような本国書類の提出が求められます。

 以下の本国書類は、全て日本語の翻訳文を添付する必要があります。

 

 基本証明書(本人)

  2008年以降に父母が亡くなっている場合、父母の基本証明書も必要になります。

 家族関係証明書(本人・父・母)

 婚姻関係証明書(本人・父・母)

 入養関係証明書(本人)

 親養子入養関係証明書(本人)

 除籍謄本(本人・父・母)

 

家族関係登録簿に基づく登録事項別証明書とは

 韓国では、2008年1月1日付で戸籍制度が廃止され、新たに家族関係登録制度が施行されました。

 

 現行の家族関係登録制度の下では、個人ごとに家族関係登録簿が作成されています。

 この家族関係登録簿に基づいて、基本証明書、家族関係証明書、婚姻関係証明書、入養関係証明書、および親養子入養関係証明書という5つの登録事項別証明書の交付を受けることができます。

 

 基本証明書(기본증명서)

 家族関係証明書(가족관계증명서)

 婚姻関係証明書(혼인관계증명서)

 入養関係証明書(입양관계증명서)

 親養子入養関係証明書(친양자입양관계증명서)

 

基本証明書(기본증명서)

 基本証明書には、出生、国籍変更、改名、親権、死亡など、対象者の基本的な事項が記載されています。

 

 帰化申請においては、通常、本人の基本証明書のみが必要となりますが、2008年以降に父親・母親が亡くなっている場合には、父親・母親の基本証明書の提出も求められます。

 

家族関係証明書(가족관계증명서)

 家族関係証明書には、対象者の家族関係(父母、子、および配偶者)に関する事項が記載されています。

 

 帰化申請においては、通常、本人の家族関係証明書に加えて、父親の家族関係証明書および母親の家族関係証明書も必要となります。

 

 家族関係証明書には、本人の親、子および配偶者については記載されていますが、本人の兄弟姉妹については記載されていません。

 ですから、帰化申請時には、本人と兄弟姉妹との関係を証明するために、父母の家族関係証明書の提出も必要とされています。

 

 また、家族関係証明書には、子に関しては、実子であっても養子・親養子であっても、全て「子女」と記載されますので、家族関係証明書だけでは、実子か養子・親養子かの区別はつきません。

 

婚姻関係証明書(혼인관계증명서)

 婚姻関係証明書には、対象者の配偶者、婚姻、離婚などの事項が記載されています。

 

 独身の方の場合、婚姻関係証明書は独身証明書の役割も果たします。

 

 帰化申請においては、通常、本人の婚姻関係証明書に加えて、父親の婚姻関係証明書および母親の婚姻関係証明書も求められます。

 なお、法務局によっては、父親の婚姻関係証明書が不要の場合があります。

 

入養関係証明書(입양관계증명서)

 入養関係証明書には、日本の「普通養子縁組」に相当する養子縁組に関する事項(養父母、養子、入養(養子縁組)、罷養(養子離縁)など)が記載されています。

 

 帰化申請においては、通常、本人の入養関係証明書が必要となります。

 

親養子入養関係証明書(친양자입양관계증명서)

 親養子入養関係証明書には、日本の「特別養子縁組」に相当する養子縁組に関する事項(親生父母、養父母、親養子、親養子入養(特別養子縁組)、親養子罷養(特別養子離縁)など)が記載されています。

 

 帰化申請においては、通常、本人の親養子入養関係証明書が必要となります。

 

韓国の除籍謄本とは

 韓国では、2007年までは戸籍制度がありましたので、戸籍簿に基づく戸籍謄本を取ることができました。

 しかし、2008年に戸籍制度が廃止され、代わって家族関係登録制度が施行されたことに伴い、それまでの戸籍簿は、現在、除籍簿として管理されています。

 この除籍簿に基づく証明書類が、韓国の「除籍謄本」です。

 

 帰化申請時には、本人、父親、および母親の除籍謄本がそれぞれ必要となります。

 

必要となる除籍謄本の範囲

 実際に必要となる除籍謄本の範囲は、帰化申請者の状況や法務局の判断によって異なります。

 

 一般的には、次のような範囲の除籍謄本を求められることが多いでしょう。

 

 本人の除籍謄本: 本人の出生時からの除籍謄本

 父親の除籍謄本: 父親の婚姻時からの除籍謄本

 母親の除籍謄本: 母親の婚姻適齢期からの除籍謄本

 

 なお、母親の除籍謄本については、場合によっては(例えば、戸籍上、父母の婚姻申告日が本人の出生日よりも後の場合など)、母親の出生時からの除籍謄本が必要となります。

 

 父母の除籍謄本に関しては、念のために、最初から出生時まで遡って全て取っておき、帰化申請時に必要な分だけを翻訳文とともに提出するようにしてもよいでしょう。

 

韓国の本国書類はどこで取得できる?

 家族関係登録簿に基づく登録事項別証明書や韓国の除籍謄本などの本国書類は、日本にある韓国大使館・領事館で取得することができます。

 

 関西エリアにお住まいの韓国人・朝鮮籍の方でしたら、大阪の韓国総領事館(駐大阪大韓民国総領事館)あるいは神戸の韓国総領事館(駐神戸大韓民国総領事館)で申請して、本国書類を請求することが可能です。

 

 東京の韓国大使館、大阪の韓国総領事館、および福岡の韓国総領事館では、写真付きの身分証明書を窓口で提示して「家族関係登録簿などの証明書交付申請書」を出せば、証明書類が即日交付されます。

 ですから、例えば、兵庫県にお住まいの韓国人・朝鮮籍の方であっても、証明書類を即日受け取りたいという場合は、大阪の韓国総領事館の窓口で申請するとよいでしょう。

 

 なお、郵送で請求することも可能ですが、窓口で請求するよりも時間がかかりますので(2週間~1ヵ月程度)、郵送で請求する場合は、余裕を持って請求する必要があります。

 

駐大阪大韓民国総領館
住所: 〒541-0056 大阪市中央区久太郎町2丁目5番13号 五味ビル
アクセス: 大阪メトロ御堂筋線「本町駅」12番出口または堺筋線「堺筋本町駅」11番出口から徒歩6分
窓口業務(家族関係登録簿の各種証明書の申請受付など)平日 9:00~16:00
電話番号: 06-4256-2345
駐神戸大韓民国総領事館
住所: 〒650-0004 神戸市中央区中山手通2-21-5
アクセス: 阪急・阪神・JR「三宮駅」から北(山側)へ徒歩約15分
窓口業務(家族関係登録簿の各種証明書の申請受付など) :  平日 9:00~17:00
電話番号: 078-221-4853

 

 大阪の韓国総領事館で韓国の本国書類の交付を申請する場合の必要書類などについては、駐大阪大韓民国総領事館HPの「家族関係などの書類発給」をご覧になってください。

 

 なお、登録事項別証明書(基本証明書、家族関係証明書、婚姻関係証明書、入養関係証明書、および親養子入養関係証明書)を請求する際には、申請書の「申請内容」の欄で「一般」、「特定」および「詳細」のいずれかを指定しなければなりません。

 帰化申請時に提出する証明書を請求する場合は、全て「詳細」を指定してください。

 

韓国の本国書類を請求するためには、登録基準地(本籍地)を知っている必要があります

 登録事項別証明書や除籍謄本などの韓国の本国書類を請求するためには、「家族関係登録簿などの証明書交付申請書」に、韓国の登録基準地(本籍地)を記入しなければなりません。

 

 ですから、韓国の登録基準地(本籍地)が分からない、あるいは覚えていないという方は、韓国の本国書類を請求する前に、ご自分の登録基準地を調べる必要があります。

 

登録基準地を記入する際の注意点

 登録基準地は、少なくとも「○○洞」または「○○里」まで記入することが求められます。

 

 韓国では、2014年1月1日から住所表示が、従来の地番による住所から道路名による住所へ変更されました。

 しかし、「家族関係登録簿などの証明書交付申請書」には、登録基準地を従来の地番住所で記入してもかまいません。

 

登録基準地が分からない場合

 韓国の登録基準地が分からないという方は、次のような方法で登録基準地を調べてみてください。

 

 家族や親族に聞いて確認する

 法務省から閉鎖外国人登録原票を取り寄せて確認する

 役所から届出の記載事項証明書を取って確認する

 民団に問い合わせて確認する

 

家族や親族に聞いて確認する

 まずは、両親や兄弟姉妹、親戚などに登録基準地を知っているかどうか聞いてみてください。

 

 韓国のパスポートを申請する際には、登録基準地の情報が必要となります。

 ですから、もしも家族や親族の中に韓国のパスポートをお持ちの方がいらっしゃれば、その方が登録基準地をご存じかもしれませんし、その方のパスポート申請書類から登録基準地が判明するかもしれません。

 

 また、家族や親族の中に帰化した方がいらっしゃる場合は、その方が登録基準地をご存じかもしれませんし、その方が帰化申請の際に提出した書類の中に、登録基準地の情報が含まれている可能性があります。

 

法務省から閉鎖外国人登録原票を取り寄せて確認する

 外国人登録原票(閉鎖外国人登録原票)には、登録基準地が記載されている場合があります(必ず記載されているとは限りません)。

 

 ですから、法務省から閉鎖外国人登録原票を取り寄せて確認することで、登録基準地が判明する可能性があります。

 

 登録基準地は、閉鎖外国人登録原票の「国籍の属する国における住所または居所」の欄に記載されている場合があります。

 閉鎖外国人登録原票を取り寄せたときには、「国籍の属する国における住所または居所」の欄(下記のサンプル中、赤色の矢印で示した箇所)を確認してください。

 

閉鎖外国人登録原票のサンプル

*出入国在留管理庁サイトより(赤色の矢印は行政書士オフィスJが記入)

 

 閉鎖外国人登録原票の請求方法については、【外国人登録原票(閉鎖外国人登録原票)のポイント解説・請求方法】をご覧になってください。

 

役所から届出の記載事項証明書を取って確認する

 出生・婚姻・離婚・死亡などの届出を日本の役所に提出している場合は、届出を出した役所から届出の記載事項証明書(戸籍届出記載事項証明書)を取って本籍の欄を確認すると、韓国の登録基準地が判明することがあります。

 

 日本の役所に届出を出すとき、外国人の方の場合は、本籍の欄には国籍だけを記入すればよいのですが、在日コリアンの方の場合は、本籍の欄に韓国の登録基準地を書いていることがあります。

 

 例えば、ご両親が婚姻届を役所に提出した際に、本籍の欄に韓国の登録基準地を書いている場合には、婚姻届を提出した役所から婚姻届の記載事項証明書を取って本籍の欄を確認することにより、登録基準地が分かります。

 

 なお、役所によっては、届出の記載事項証明書を請求する際に、希望すれば、届出提出時の添付書類も出してもらえる場合があります。

 例えば、届出の記載事項証明書では登録基準地を確認できなくても、届出提出時の添付書類の中に韓国の戸籍謄本などが含まれていれば、戸籍謄本から登録基準地を確認することができます。

 役所によっては対応してもらえない場合もありますが、届出の記載事項証明書を請求するときには、念のために、届出提出時の添付資料も併せて請求したほうがよいでしょう。

 

民団に問い合わせて確認する

 家族や親族の中に民団(在日本大韓民国民団)を通じて戸籍整理やパスポートの申請を行った方がいらっしゃる場合は、民団が登録基準地に関する情報を持っている可能性があります。

 そのような場合は、民団に問い合わせて確認することで、登録基準地が判明するかもしれません。

 

 

まとめ

 

Memo   

韓国人・朝鮮籍の方は、身分関係を証明する書類として、通常、次のような本国書類を提出することになります。基本証明書(本人)  家族関係証明書(本人・父・母) 婚姻関係証明書(本人・父・母) 入養関係証明書(本人) 親養子入養関係証明書(本人) 除籍謄本(本人・父・母)

これらの本国書類は、日本国内の韓国大使館・領事館で取得することができます(東京の韓国大使館、大阪の韓国総領事館、および福岡の韓国総領事館では、即日受け取りが可能です)。

除籍謄本は、通常、本人については出生時からの除籍謄本、父親については婚姻時からの除籍謄本、母親については婚姻適齢期から(場合によっては、出生時から)の除籍謄本が必要となります(本人の状況や法務局の判断によって、必要となる除籍謄本の範囲は異なります)。

韓国の本国書類を請求するためには、申請書に登録基準地(本籍地)を記入する必要があります。登録基準地をご存じない場合は、例えば、家族や親族に聞いてみる、閉鎖外国人登録原票を取り寄せる、届出の記載事項証明書を取る、あるいは民団に問い合わせるなどして、登録基準地を確認しなければなりません。

 

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