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 ここでは、帰化申請の1つ目の基本条件である「住所条件」について解説させていただきます。

「住所条件」とは

 「住所条件」とは、国籍法の第5条第1項第1号に定められている次の条件です。

 

帰化申請の基本条件①:住所条件
引き続き5年以上日本に住所を有すること

 

 「住所条件」は、日本での居住歴に関する条件(要件)であることから、「居住条件」や「居住要件」などと呼ばれることもあります。

 

 5年以上の居住歴の基準となるのは、帰化を申請する日です。

 ですから、帰化を申請する時点で、引き続き5年以上日本に住んでいる必要があります。

 

住所条件に関する注意点

 住所条件に関しては、次のような注意点があります。

 

 居住歴が途切れていないこと(「引き続き」日本に住んでいること)

 出国日数が多過ぎないこと(年間の出国日数100日以上・1回の出国日数90日以上から不許可リスクあり)

 留学生として来日された方の追加条件(3年以上の就労歴があること)

 

居住歴が途切れていないこと(「引き続き」日本に住んでいること)

 まず、住所条件で注意しなければならないのは、「引き続き」と規定されている点です。

 住所条件の中で規定されている「引き続き」は、居住歴が途切れていないことを意味します。

 

 例えば、4年間日本に住み続けていたが、何らかの事情で本国に1年間戻り、その後再来日して1年間日本に住んでいる方について考えてみましょう。

 この方の場合は、合計で5年以上日本に住んでいることになりますが、途中で日本での居住歴が途切れてしまっていますので、引き続き5年以上日本に住んでいるとは認められず、住所条件をクリアすることができません。

 この方が住所条件をクリアするためには、再来日した時点から改めて引き続き5年以上日本に住まなければなりません。

 

出国日数が多過ぎないこと(年間の出国日数100日以上・1回の出国日数90日以上から不許可リスクあり)

 住所条件に関して次に注意すべき点としては、出国日数が挙げられます。

 

 年間の出国日数が合計で100日以上になると、引き続き日本に住んでいるとは認められない可能性が生じます。

 年間の出国日数が合計で150日以上になってくると、引き続き日本に住んでいるとは認められない可能性がかなり高くなってしまいます。

 

 また、1回の出国日数が3ヵ月(90日)以上の場合にも、引き続き日本に住んでいるとは認められなく恐れがあります。

 

 出国日数が多いと判断され、居住歴が途切れてしまった場合は、居住歴が途切れた後に日本に入国した時点から、改めて引き続き5年以上日本に住み続ける必要があります。

 

 ですから、仕事柄、海外出張が多い方、長期の海外研修・海外留学などを予定している方、出産や里帰りなどのために本国への長期帰国をお考えの方、長期または複数回の海外旅行を計画している方などは、1回の出国日数が3ヵ月(90日)以上にならないように、かつ、年間の出国日数の合計がなるべく100日以上にならないように、十分お気をつけください。

 

留学生として来日された方の追加要件(3年以上の就労歴があること)

 帰化を申請する方が留学生として来日している場合、「引き続き5年以上日本に住所を有すること」という住所条件に加えて、この5年間の居住歴の中に3年以上の就労歴があることも求められます。

 

 この追加要件は、国籍法の条文で定められているわけではありませんが、留学生として来日した方の場合、帰化するにあたっては、社会人として3年程度の就労経験があることが望ましいという考えに基づいて規定されています。

 

 ですから、例えば、5年以上前に留学生として来日した後、就職することなく、日本の学校に通い続けている方は、引き続き5年以上日本に住んでいても、「3年以上の就労歴」という条件を満たすことができないので、結果的に住所条件をクリアできないということになります。

 

 「3年以上の就労歴」は、技術・人文知識・国際業務ビザ(在留資格「技術・人文知識・国際業務」)や技能ビザ(在留資格「技能」)などの就労ビザ(すなわち、正規の就労系の在留資格)で働いていた期間でなければなりません。

 ですから、例えば、留学生のときに資格外活動許可を取ってアルバイトで働いていた期間は、就労歴に含めることはできません。

 

簡易帰化の対象となる外国人の方は、住所条件が緩和されます

 簡易帰化の対象となる外国人の方(例えば、日本人と結婚している外国人の方、特別永住者の方、日本人の子である外国人の方、元日本人である外国人の方、元日本人の子である外国人の方など)の場合は、この住所条件が緩和されます。

 

 つまり、簡易帰化の対象となる外国人の方の場合は、必要となる居住歴が短くなりますので、引き続き5年以上日本に住んでいなくても、他の条件をクリアできれば、帰化が許可される可能性があります。

 

 簡易帰化(基本条件の緩和・免除規定)について詳しくは、こちらの【簡易帰化ポイント解説】をご覧になってください

 

 

 次回のコラムでは、帰化申請の2つ目の基本条件である「能力条件」について解説してみたいと思います。

 

まとめ

 

Memo   

「引き続き5年以上日本に住所を有すること」という住所条件をクリアするためには、帰化申請の時点で、引き続き5年以上日本に住んでいなければなりません。

「引き続き」と定められていますので、居住歴が途切れることなく、5年以上日本に住み続けている必要があります。

年間の出国日数が合計で100日以上あると、引き続き日本に住んでいるとは認められない可能性が生じ、150日以上あると、引き続き日本に住んでいるとは認められない可能性が高くなってしまいます。

1回の出国日数が3ヵ月(90日)以上の場合も、引き続き日本に住んでいるとは認められない恐れがあります。

留学生として来日した方の場合、「引き続き5年以上日本に住所を有すること」だけでなく、この5年間の居住歴の中に3年以上の就労歴があることも必要となります。

 

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